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JALとGMO、グラハン作業を担うヒューマノイドロボット開発に着手。ルール作りも
JALとGMOが連携し、空港での働き方の未来に向けた新たな一歩を踏み出した。人手不足が叫ばれるグランドハンドリングの現場に、ヒューマノイドロボットという大胆なソリューションの投入を検討しようというのだ。羽田空港での実証実験、トライアルを皮切りに、空港オペレーションが大きく変わる可能性がある。
JALとJALグランドサービス(JGS)、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は4月27日、5月から羽田空港において国内初となるヒューマノイドロボット活用の実証実験を開始すると発表した。
本プロジェクトは、労働人口の減少や、2030年までに訪日旅客6,000万人目標を目指すという政府方針などを背景に、グランドハンドリング業務の省人化と生産性向上を目的としたものとなる。まずは2028年度末までの3年間でコンテナ移送作業の自動化を検証し、持続可能な空港オペレーションの確立を目指す。
JGS 代表取締役社長の鈴木美輝氏は、人材不足の解消が急務である現状を説き、「空港におけるグランドハンドリングへのロボット導入を進めることとした。高い技術力によって、安全性が高く、作業品質を損なわない高性能なヒューマノイドロボットが誕生するものと確信している」と述べる。鈴木氏は、2028年度末に一部の作業領域をロボットに置き換えるトライアル運用を目標と定め、インバウンド需要の拡大にも対応していく構えだ。
技術パートナーであるGMO AIRは、世界中の多様な機体を調達・運用している。代表取締役社長の内田朋宏氏は、2026年を「ヒューマノイド元年」と位置付け、「空港は24時間365日稼働し続ける巨大なインフラであり、ロボットのために施設を改修することは現実的ではない。しかし、ヒト型であれば既存設備をそのまま活用できる利点がある」と語る。
さらに、「ヒューマノイドに関して色々やらせていただいているが、それらの取り組みは、今日この場で発表させていただくJALさまとの取り組みのためにやってきたと言っても過言ではないと思っている。開発や技術実証は大切だが、最終的には社会実装しないと意味がない。それをJALさまと一緒に空港でできることにワクワクしている」と、空港という重要インフラにおける労働課題をヒューマノイドで代替することに強い意欲を示し、本プロジェクトを本格的な「社会実装への第一歩」としている。
具体的な開発計画を担当するJGS 企画部の吉岡智也氏は、ヒューマノイドの「汎用性」を最大のメリットとして挙げる。「1台のロボットがプログラムの切り替えで何役もこなせる点は、投資効率と作業効率を最大化させる」と評価している。
実証実験では、ドーリー(コンテナの台車)からハイリフトローダーへコンテナを移送する作業をヒューマノイドに代替することを目指す。具体的には、「ドーリーにコンテナを固定/解除するレバー操作」、「1.5トンにも及ぶコンテナを移送(押し出し)する作業」、「ペダルを踏みながらの回転操作」といった、人間特有の柔軟な動きが必要な工程について各半年ほどをかけて段階的に開発する。
まだ開発に着手したところではあるが、レバーの検出のほか、レバー操作のためにかがむ挙動をしたときに負荷が大きくなりすぎるモーターがあるなどの課題が見えており、例えば操作時の姿勢の最適化などを進める必要があるとしている。また安全性についても、空港内、航空機の近くで作業する際に必要な安全性を検討しながら、必要な機能を組み込んでいく方針だという。
そして、3つの作業を一連の動作とし統合し、2028年に安全性などを担保したうえでトライアルに移行する考えだ。トライアルは羽田空港で、1台のヒューマノイドを作業に従事させる想定。実際に駐機場でのコンテナ移送なども行なわれる予定だ。
ちなみに、ランプエリアでヒューマノイドに作業をさせることを想定したルールは存在しない。その点について吉岡氏は「自動運転などと同様、ヒューマノイドについてもルールの策定やガイドライン作りを働きかけていく必要があると思っている」としており、業界全体での議論を進めることも見据えている。
今後の展望として、プロジェクトは2028年度末のトライアル運用を経て、2029年以降の本格導入を見据えている。吉岡氏は、自動運転など、ほかの施策と組み合わせることで、「現在は5名から6名で行なっているコンテナ積み込み作業の人数を、将来的に半減させたい」との目標を掲げた。将来的には機内清掃など他の業務への展開も視野に入れており、人とロボットが共生する新しいグランドハンドリング業務の姿を実現すべく、取り組みを進めていく方針だ。
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