航空旅行

直行便がなくても、繰り返し訪れたくなるバスク旅の魅力 ~旅のヒントBOOKより

文:金栗里香 写真:金栗里香
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こんにちは! 旅のヒントBOOK編集部です。
旅のヒントBOOKは主に現地在住者やその地のリピーターを著者に迎え、大切な友人を案内したいスポットを厳選してご紹介するガイドブックシリーズです。
現在、50を超える国と地域がラインナップしています。
さらに、このシリーズから派生した海外関連のさまざまな書籍を製作しています。

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今回は、バスク在住歴35年で、バスクの情報を長年発信し続けている金栗里香さんによる現地レポートをお届けします。

白い鳥が羽を広げたような曲線美が印象的なビルバオ空港。

空港から始まる旅の物語

 バスク旅の玄関口は、前衛建築が印象的なビルバオ空港、そして海沿いに位置するサン・セバスティアン空港の二つが主役となります。日本からの直行便はなく、多くの旅人は欧州や中近東の主要都市で乗り継ぎビルバオ空港へ。またはスペイン国内のマドリードやバルセロナを経由してサン・セバスティアン空港へと辿り着きます。アクセスは決して良いとは言えませんが、その「遠回り」こそがバスクという特異な文化圏への期待を膨らませ、旅人の心を静かに整えてゆきます。

都市の個性を見比べてみる

 ビルバオでは、工業都市からアートの街へと生まれ変わった象徴としてグッゲンハイム美術館を訪ねてみましょう。川沿いを歩けば、鉄とガラスの街並みにアートが溶け込み、過去の余韻を感じることができます。

 一方、サン・セバスティアンは夏の避暑地として知られ、ラ・コンチャ湾を抱く砂浜には優雅さと光があふれています。バスで1時間20分の道のりを往復すれば、わずかな距離のなかに異なる気配とリズムが潜むことを感じるでしょう。バスクは都市ごとの“声”が際立つ地域なのです。

年間100万人超の観光客が訪れるビルバオのグッゲンハイム美術館と、人気のアート作品「パピー」。
穏やかな湾に沿って砂浜が続く、サン・セバスティアンを象徴する景色。

バル巡りの中毒性

 バスク旅を語るうえで要となるのが、バル巡りです。サン・セバスティアン旧市街には数多くの店が軒を連ね、客はワンドリンク、ワンピンチョのスタイルで次の店へと渡り歩きます。十軒ほど梯子しても、それはまだ入口に過ぎません。その多様さは実験場のようで、ほんの一皿に凝縮された技法や素材の妙が、店ごとに異なる表情を見せています。立ち飲み文化の軽やかさ。店に長居しないからこそ、旅人は短時間で様々な味と人に出会えるのです。その回遊性が強烈な中毒性を生み、アクセスの不便さをものともせずにリピーターが増えていきます。

カウンターに並ぶピンチョスや黒板メニューから悩みつつ選ぶのがまた楽しい。

国境を越えても文化は続く

 日程に余裕があれば、フランス側のバスクへ向かうこともお勧めします。バイヨンヌやサン・ジャン・ド・リュズなど、同じバスク語と旗を掲げながらも、国家が変わると食卓の色や街の息遣いが違ってきます。スペインとフランス、二つの国にまたがるひとつの文化圏というユニークさは、地図や言葉だけでは説明しきれません。なぜ不便なのに人々は何度も戻ってくるのか。その答えは事前の情報だけでは掴みにくく、「一度来て体験するしかない」という、ごく単純で正直な理由に行き着くのです。

チョコレートや雑貨などのショッピングが楽しいバイヨンヌの街。

金栗里香/Rika Kanakuri
バスク在住歴35年。2004年にブログ「チキ便り~バスク地方のとある街より」をはじめる。美食関係、映画祭などの文化イベント、視察、メディア取材などのアテンド通訳・翻訳業などを経て、現在は主にSNS「バスクにおいでよ」やYouTubeチャンネルで日常の生活の中で見えるバスクの「今」を発信中。

Instagram @visit.basque
YouTube バスクにおいでよ

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旅のヒントBOOK『美食の街を訪ねて スペイン&フランスバスク旅へ 最新版』金栗里香 著

スペインとフランスにまたがり、独自の美食文化を持つバスク。スペインバスクは、世界有数の美食の街サン・セバスティアンを中心に4つの町をピックアップ。フランスバスクは、ショッピングも楽しいサン・ジャン・ド・リュズからはじまり5つの町&村をご紹介。バルの利用方法、バルメニュー&バスク料理などの解説ページも。

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