連載
旅客機の床下スペースを有効活用。機材ごとに特徴の異なる貨物室~ 連載【月刊エアライン副読本】

【連載】ヒコーキがもっと面白くなる! 月刊エアライン副読本
「空のエンターテインメント・メディア」として航空ファンの皆さまの好奇心と探究心にお応えすべく、航空の最前線、最先端技術などを伝えている月刊エアライン。そんな弊誌でテクニカルな記事や現場のレポートを中心に執筆に携わる阿施光南氏が、専門用語やテクノロジーをやさしく紹介するオリジナルコラムです。
存在はよく知られているのに、なかなか見る機会がないのが旅客機の床下貨物室(ベリー)だ。
一般の人はもちろんだろうが、貨物専用機を取材する機会があっても公開されるのは自慢のメインデッキのみということが多い。取材では時間が限られているし、「ベリーは旅客型と同じですから」で済まされてしまいがちなのだ。いやいや、旅客機のベリーすら見る機会が少ないのですがと、チャンスがあればお願いしてきた。確かに飾り気のない空間かもしれないが、それも見てみなくてはわからない。
代表的なのは、やはりボーイング747だろう。ただ大きいからというだけでなく、航空用のULD(Unit Load Device。コンテナやパレットの総称)の国際標準規格は747の登場に合わせて作られたからだ。
ただし747に合わせたLD-1は大きすぎて他の旅客機との互換性が低い。そこで、実際にはLD-1よりもやや幅が狭いLD-3が広く普及することになった。
LD-3を2列に搭載できる最小胴体径の旅客機はA300系列(A300と同じ胴体径を持つA310とA330、A340)だが、そのためにエアバスはかなり無理をした。
細くなる胴体後方までなるべく多くのコンテナを積めるように、客室後方の床を高くしてベリーの広さを確保したのだ。そのため、これらの旅客機の客室窓の並びを見ると、後方がやや少し上がっている。
ただし長距離路線でクルーが仮眠できるスペース(クルーレスト)が要求されるようになっても、A300の胴体径では天井裏に十分なスペースを確保することができない。
そこでエアバスは、長距離運航が可能なA330やA340の開発とあわせて貨物室に設置できるクルーレストを用意した。また胴体が長いA340-600では、ラバトリーまで床下に設けた。
胴体が細くてコンテナを搭載できない最後部は、どの旅客機もバラ積み貨物室(バルク)として利用している。ここには小さな貨物ひとつひとつをグランドハンドリングスタッフが手作業で搭載する。
もちろんこうした貨物も機体のバランス(重心)に影響するため、そして荷崩れを防止するために、バルクはネットで仕切るようになっている。
ナローボディ旅客機では、A320ファミリーのみがベリーにコンテナを搭載でき、737はすべてバラ積みだ。
ワイドボディ旅客機と比べると天井が低く、搭載作業はかなり大変そうだが、スライド式の床を装備して少しでも効率的に作業を行えるようにしている。
ちなみにコンテナを搭載できる貨物室とできない貨物室の違いは、カーゴドアが開く方向にも表れている。
コンテナ搭載可能なカーゴドアは内部のスペースを圧迫しない外開きなのに対して、コンテナを搭載できない貨物室のカーゴドアは内側に開くようにして、簡単な構造で与圧に耐えられるようにしている。
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