連載
今では珍しくなった、一長一短なリアエンジン形式~ 連載【月刊エアライン副読本】

【連載】ヒコーキがもっと面白くなる! 月刊エアライン副読本
「空のエンターテインメント・メディア」として航空ファンの皆さまの好奇心と探究心にお応えすべく、航空の最前線、最先端技術などを伝えている月刊エアライン。そんな弊誌でテクニカルな記事や現場のレポートを中心に執筆に携わる阿施光南氏が、専門用語やテクノロジーをやさしく紹介するオリジナルコラムです。
胴体後方にエンジンを装備する形式をリアエンジンという。
最初に作られたのはフランスのシュド・カラベル(1955年初飛行)で、特許も取得した。以後、BAC1-11やマクダネル・ダグラスDC-9など初期の双発旅客機ではメジャーな形式となり、3発旅客機ではホーカー・シドレー・トライデントやボーイング727、ツポレフTu-154などが作られた。さらに4発旅客機のビッカースVC-10やイリューシンIl-62は、日本線にも就航していた。
リアエンジン形式の利点としては、主翼をクリーンにして空力性能を高められること、エンジンを機体の中心線近くに配置できるために1発停止時のバランスの崩れを小さくできること、エンジンの位置が高いために異物を吸い込みにくいことなどが挙げられる。
また主翼にエンジンを吊るよりも胴体を低くできるので重いランディングギアを短くでき、小型機ならばドア内側にステップを刻むことで地上の支援なし乗り降りができる。
そのため現在でもビジネスジェットにはリアエンジン形式が多いが、日本の航空会社の旅客機としてはIBEXエアラインズのCRJ700くらいしかなくっている。
リアエンジン形式の欠点には、胴体にエンジンを取り付けるために客室スペースが圧迫されることや、機体構造が重くなるといったことがある。
飛行機は主翼が発生した揚力で飛ぶため、主翼と胴体の取付部はとりわけ丈夫に作る必要がある。翼胴取付部には胴体(乗客や貨物を含む)や尾翼の重量に加えて、リアエンジン形式ではエンジンの重量までが加わるから、それに耐える構造も重くなってしまうのだ。
ちなみにエンジンの重量は、初期のDC-9に装備されたJT8Dでも1.5トン程度、Il-62に装備されたD-30KUだとスラストリバーサーを含めて3トン程度ある。
Il-62はこれを4基も装備したから、合計すると相当な重量になる。もちろん翼胴取付部だけでなく、エンジンを取り付ける胴体部分も重さや推力を支えるために丈夫にしなくてはならないから、さらに重量増加の原因となる。
またリアエンジン機では、バランスにも注意が必要だ。飛行中はもちろんだが、地上で乗客や貨物を降ろしていくと尻餅をつきやすくなる。
そのためIl-62は着陸後に補助脚を伸ばして機体後方を支えるようにしていたし、他のリアエンジン機にも地上では後方に支柱をあてがうものが珍しくない。
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