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ACIが日本の空港インフラ投資を分析、「2056年までに800億米ドルの投資が必要」

10月9日、ACI Asia-Pacific & Middle Eastのシンポジウムに合わせて開かれたメディアブリーフィングで、同会ステファノ・バロンチ事務局長が、日本の航空競争力を維持するためには2056年までに総額800億米ドルの投資が必要になると分析し、計画の策定を提言した。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
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Airports Council International Asia-Pacific & Middle East 事務局長のステファノ・バロンチ(Stefano Baronci)氏

 Airports Council International(ACI) Asia-Pacific & Middle East(国際空港評議会 アジア太平洋・中東地域事務所)は10月9日、都内のホテルで空港インフラ投資に関するシンポジウムを開催。同日、メディア向けブリーフィングも行なわれ、事務局長のステファノ・バロンチ氏が登壇し、アジア太平洋および中東地域の300の空港を対象としたインフラ投資に関する調査結果を明らかにした。

 同地域の旅客数は2024年の約39億人から2056年には約116億人へと約3倍に増加すると予測されている。一方、日本の旅客数は2025年の2億6,600万人から2056年には約4億2,400万人へと約60%の増加にとどまる見込みだ。バロンチ氏は、「日本の空港では、今後10年間で約290億米ドルの投資が必要となり、続く20年間でさらに510億米ドルが必要となる。つまり、2026年から2056年までの合計で800億米ドルが必要となります」と説明した。

 日本で公表されている計画では、今後10年間で135億米ドルの投資が見込まれているが、バロンチ氏は「今後10年間で必要な290億米ドルに対して、約155億米ドルの『投資ギャップ』が生じることになる」と述べ、必要な投資の約47%が調達できないリスクがあることを指摘した。急速に拡張する市場とは異なり、「日本では新空港の建設は想定されておらず、既存空港への投資が今後ますます重要になる」とする。

 日本の空港においては「大・中規模空港と小規模空港で課題が異なる」とバロンチ氏は述べた。日本の国際的な玄関口である大規模空港では、キャパシティ増強のための既存インフラの近代化が必要であり、滑走路などの飛行場エリアとターミナルの両方への投資が求められるという。同氏は「私たちが調査対象とした日本の11の主要空港を見ると、飛行場インフラこそが最も大きな投資を必要とする領域である」と話す。これらのうち5つの空港は、今後10年以内に混雑飽和状態に達すると予測している。一方、小規模空港については、新たなインフラの追加よりも、法的要件を満たすシステムへの更新や、現在の旅客サービスレベルの維持が課題であると述べた。

 バロンチ氏は、「アジア太平洋・中東地域では、各国が空港インフラの拡張・近代化に向けて大規模な投資を進めており、接続性や旅客成長をめぐる競争が激しさを増している」と言及。「日本は成熟した高度な空港システムを持っているが、地域の動向に歩調を合わせ、長期的な航空競争力を維持するためには、継続的な投資と近代化が不可欠である」と述べた。

 さらに、「今後の10年は、日本の空港が接続性向上や観光振興、さらには日本経済全体を支える基盤としての役割を維持できるかどうかを左右する重要な10年になるだろう」と強調。投資が行なわれなければ、キャパシティ利用率が現在提供できる能力の80%から94%へ上昇するとし、これ以上の混雑を避けるために投資を行なう必要性があるという。

 資金調達に関してバロンチ氏は、「適切な資金調達レベルを確保するためには、長期的な投資リスクを分散・共有するための柔軟なフレームワークが推奨される」と語った。官民連携のPPPモデルの活用や、コストを反映した空港使用料への見直し、収益源の多様化、政府の関与によるハイブリッドモデルの確保などを解決策として挙げている。

 最後に同氏は「直面する課題は前例のない規模だ。政府の指導のもとで業界が一体となり、今後10年・30年先を見据えたパラメータや基準となる国家計画を策定することが求められている」と締めくくった。

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