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空港グランドハンドリング協会が第4回総会を開催。2026年度は政策提言にも注力

空港グランドハンドリング協会が第4回年次総会を開催。第3期の適正取引化ガイドライン策定等の成果を振り返るとともに、2030年の政府目標達成に向け、リスクの適正な分担と先進機材導入による持続可能な体制構築に向けて、政策提言を含めた取り組みを進めていく。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
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 一般社団法人空港グランドハンドリング協会(空ハン協)は5月8日、第4回年次総会を開催した。航空産業の成長を通じて日本経済の発展に寄与し、従業員が誇りを持って働くことができる業界を目指すという「空ハン協ビジョン」に基づき、これまでの活動成果と今後の事業計画が報告された。

 第3期の振り返りについて、代表理事・会長の宍倉幸雄氏は、協会の組織強化を図るとともに、適正取引の推進、人材不足、業務効率化と先進機材の導入、安全堅持の推進という4つの共通課題を解決して経営基盤を強化することを方針としてきたとする。ビジョンの実践のために国内を各地域に分け、地域別幹事会を開催して丁寧な意見収集と課題把握を行なったことは、空ハン協の政策提言の骨子を固めるうえで大きな成果となった。

 具体的な第3期の活動としては、国と連携して2025年12月に「空港グランドハンドリング事業適正取引化ガイドライン」が策定された。人材確保においては、外国人雇用の制度に関して国や自治体と連携したほか、労働環境改善のための意見収集やカスタマーハラスメントの研究会開催等を実施。業務効率化では、国の会議体への参画を通じてDXの推進に関与し、高額な先進機材導入のための国の補助金獲得などを進めた。さらに、全国空港安全点検の実施により、空港の安全面の課題を広くリサーチしている。

 第4期の方向性については、総会の閉幕あいさつのなかで現場の厳しい現状を訴えた。グランドハンドリング事業者への過度な費用抑制が負担の一方的な転嫁であると指摘し、これが現場の疲弊や安全品質の低下を招くことを危惧していると強調した。グランドハンドリングの存立基盤は「安全」であり、2030年の訪日客6,000万人目標に向けた鍵となる一方で、原油高や人件費高騰に伴うリスクを事業者のみが負い続けている現在の構造は限界であるとの認識を示し、リスクのオープンな分担について、航空事業者や行政を交えた具体的な議論を深める時期が来ていると述べた。

空港グランドハンドリング協会 第4回年次総会の閉幕にあたってあいさつを述べる代表理事・副会長の服部 茂氏。

 総会後に行なわれた宍倉会長と栢沼史好 執行理事による質疑応答の場でも、このリスクに関する話題も挙がり、リスクヘッジの仕組みについて北海道エアポートがステークホルダー間でリスクを分担する仕組みを構築した事例が紹介された。撤退後の人件費分担や地方都市への応援に必要な出張旅費の補助などを含むもので、協会としてはこのような適切なリスク分担の枠組みを検討し、横展開していきたいとしている。

 また、人材不足の課題について宍倉会長は、都市部ではコロナ前の水準にほぼ戻り生産体制を再確立できた一方で、地方や離島では採用が成立せず、非常に苦労している拠点がある現状を明らかにした。栢沼 執行理事は、人数としての充足は進んでいるがトレーニング(習熟度)が追いついていないことを挙げ、コロナ禍時に中堅層が抜けた穴を埋めるための教育訓練が重要であると述べた。

 委託費用の引き上げについては、大手航空会社による引き上げ表明の流れを受け、策定されたガイドラインを実践し、あるべき取引を契約に反映させていくことが今期の活動となる。栢沼氏は具体的な数字は把握していないとしたうえで、受委託費用の上昇基調の流れを感じているとしている。

報道関係者の質問に答える空港グランドハンドリング協会 代表理事・会長の宍倉幸雄氏(右)と、執行理事の栢沼史好氏(左)。

 地方空港の課題解決においては、地域別幹事会が果たした役割が非常に大きいことが強調された。実際に「ランプの路面の凹凸が危険」「休憩スペースが不足している」といった具体的な現場の不満を拾い上げ、政策提言の項目として集約できたことは、地方空港支援の大きな一歩となったといえる。

 先進機材への投資については、一企業での負担が困難なほど高額であるため、国の補助金の継続的な獲得に尽力していく方針だ。DXの実装に向けては、コンテナへの荷積みロボットやヒューマノイドといった難易度の高い技術開発について、現場が加速度的に効果を実感できるよう、国や関係各所と連携して取り組んでいく決意を示した。

 第4期はスローガンを具体的な成果につなげるフェーズとし、「現時、現物」、そして「地方の声」を大切にする原則を掲げる。そして、人材、とりわけ中堅層の不足という歪みに対応し、業界全体で安全性の向上の知見を横展開するサイクルを確立していく姿勢を示している。