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成田空港で北欧発のSTEM教育イベント「Newton in a Box Japan」スタート

成田国際空港、ボーイング、航空科学博物館の共催によるSTEM教育イベント「Newton in a Box Japan」が、成田国際空港で開始された。北欧で開発された体験型プログラムがアジアで初めて実施されるもので、飛行体験や実験を通して子供たちが航空や科学分野への関心を深める機会を提供する。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
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成田空港で北欧発のSTEM教育イベント「Newton in a Box Japan」がスタート。

 成田国際空港(NAA)、ボーイング、航空科学博物館は、北欧発のSTEM(科学・技術・工学・数学)教育イベント「Newton in a Box Japan」を、成田空港第1ターミナル北ウイング4階の保安検査前エリアで開催する。

 「Newton in a Box」は、ボーイングが支援するノルウェーの非営利団体「ファーストスカンジナビア(FIRST Scandinavia)」により開発された教育プログラムで、これまでに北欧や欧州、ブラジルなどで実施されてきたが、アジアでの開催は初めてのこと。実践的な体験活動を重視したプログラムであり、学術機関や産業パートナーと協力して開発されている。今回のイベントでは航空とエネルギーに焦点を当て、現役パイロットや元パイロット、パイロットコースの学生を含むボランティアがインストラクターを務め、分かりやすく手ほどきしながら体験学習を提供する。

 航空人材の育成が重要なテーマとなるなか、成田空港のターミナル内という立ち寄りやすい場所で実施することにより、夏休みの期間に空港を訪れる子供や利用客が、科学技術や航空を身近に感じる機会を提供する。

成田空港第1ターミナル北ウイング4階に特設会場が設けられている。

 会場では3つのアクティビティが実施される。1つ目は「フライトシミュレーター体験」で、飛行訓練用として承認を受けているシミュレーターを用い、離陸から成田空港周辺の飛行、着陸までを体験する。2人でペアを組み、速度や高度などの基本的な計器を使って操縦桿を握ることで、航空の基礎を実践的に学ぶ。

 2つ目は「運動エネルギーの実験」。レールや鉄の球、計測機能を持つスマートカートを使用し、位置エネルギーが運動エネルギーへと変化する仕組みを観察しながら、加速度や運動量、エネルギー保存について理解を深める。

 3つ目は「航空工学に挑戦」だ。3Dプリントで作られた胴体に紙で作った翼を取り付け、設計や製作、飛行試験を繰り返す。翼の形状にはデルタ翼、スウェプト翼、直線翼が用意されており、揚力や抗力、安定性といった航空力学の基本概念を学びながら、問題解決能力を養う。

 イベントの開催期間は8月3日~23日、時間は10時~16時。すべて無料で体験できる。対象年齢は10歳から18歳に設定されているが、子供が並んでいない場合は大人の参加も可能だ。なお、アクティビティのうちフライトシミュレーター体験のみ事前予約が必要となる(空きがある場合は予約なしで体験できる場合もある)。

「フライトシミュレーター体験」では、現役パイロットや元パイロットをインストラクターとして操縦を体験できる。30分単位での事前予約制となっており、成田空港周辺を飛行して離着陸するフライトを体験できる。
小型双発機のバロン58のシミュレーターを利用している。
開催に先立つ8月1日には、成田国際高校の生徒向けに全編英語のプログラムが実施された。
「運動エネルギーの実験」は、レールを通る鉄の球をスマートカートと呼ばれる車に当てるもの。レールをどのように設置すればエネルギーを最大化できるかを実践的に体験できる。
「航空工学に挑戦」では、用意された胴体に紙で作った翼を取り付けて実験できる。
翼の取り付け位置、エレボンやウイングレットの角度、ノーズの重りなどを試行錯誤しながら航空工学に触れられる。
実際に作った飛行機を飛ばせる、16/34滑走路をイメージしたエリアが用意されている。

 イベント初日となる8月3日には、会場でオープニングセレモニーが開催された。

 ボーイング ジャパン 代表取締役社長のエリック・ジョン氏は、「私が初めて成田空港を訪れたのは42年前、若い外交官としての初めての赴任先に向かう途中のことだったので、私にとって成田空港は常に新しい始まりの場所だと思っている。このイベントは、まさに若者が航空について学ぶ、新しい始まりになると考えている」とコメント。ボーイングは世界中で若者に航空におけるイノベーションに親しんでもらう活動を行なっており、本イベントが次世代を担う若者たちにとって、航空分野について学ぶ新しい始まりになることへの願いを述べ、アジアで初めてイベントを開催できたことに対して関係者への感謝を伝えた。

ボーイング ジャパン株式会社 代表取締役社長 エリック・ジョン氏。

 ファーストスカンジナビアのCEOであるペール=アリルド・コンラドセン氏は、学校の理論的な教育になじめなかったものの、ラジコンカーの分解や組み立てといった実践的な経験を経て企業のCEOとなった自身の息子のエピソードを紹介。「学校教育が理論を重視しすぎているために、私たちがどれほどの才能を失っているか、想像してみてください」と語り、「飛行計画の作成から、そして実際に飛行機を操縦するということで、理論と実践、現実の生活がどうつながっているかというのを結びつけることができるようになります」と、実践的な体験の意義を述べた。

ファーストスカンジナビア CEO ペール=アリルド・コンラドセン氏。

 NAAの代表取締役社長である藤井直樹氏は、日本の航空業界がパイロットや整備士、グランドハンドリングなどの分野で人手不足に直面している現状を説明。この打開のための第一歩として、若い世代に航空分野に興味を持ってもらうことが重要であるとし、「理論だけでなく実践できるという大変素晴らしいプログラムだと思う。少しでも多くの子供たちが触れ、航空の分野にご関心を持っていただければ大変ありがたい」とコメント。多くの飛行機が離着陸する航空の最前線である成田空港で体験型のイベントを行なうことで、子供たちが航空の世界に触れ、将来の夢として抱き、未来の航空業界を担う人材が育つことへの期待を示した。

成田国際空港株式会社 代表取締役社長 藤井直樹氏。

 来賓として出席した千葉県知事の熊谷俊人氏は、「このイベントは本格的なフライトシミュレーターによる操縦体験や航空力学の基礎を学ぶ実験などを通じて、子供たちが科学や航空の魅力に触れることのできる素晴らしい学びの場であり、空港、そして航空業界への興味関心を持つきっかけづくりになると考えている」と話し、「子供たちが心を躍らせる体験を積み重ねていくことで、将来航空関連産業で働きたいという夢や憧れにつながっていくものと考えている」と子供たちが航空や科学への興味を深める場になることに期待。県としても、関係企業らと連携して子供たちのキャリア教育などにも積極的に取り組んでいることを説明した。

千葉県知事 熊谷俊人氏。
登壇した4氏に、共催の航空科学博物館 館長 榎本達也氏が加わってテープカットが行なわれた。
最後に、来賓として出席した千葉県芝山町、ANA、JAL、NCA、ジェットスター・ジャパン、日本航空機操縦士協会の各代表者とともに記念撮影。

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