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JAL「GREEN×EXPO」特別デザイン機のデカール貼付。“貼るだけ”ではない技術が詰まる

2027年開催の「GREEN×EXPO 2027」に向け、JALの特別デザイン機(ボーイング737-800、JA344J)のデカール貼付作業が進められている。その準備作業を取材した。

文:阿施光南 写真:阿施光南
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JAL「GREEN×EXPO 2027」の特別デザイン機のデカール貼付作業がスタート。

 JALが協賛する「GREEN×EXPO 2027」の特別デザイン機。10月19日に行なわれたデカールの領収検査の様子はすでにお伝えしたが、11月1日には機体への貼付作業がスタート。翌2日午前には、作業中の機体を見ながら羽田航空機整備センター 機体点検整備部 構造塗装技術室 塗装技術課の清水秀文さんから説明を聞くことができた。塗装技術課は、機体の塗装やラッピングを専門に行なう部署である。

 ラッピング対象となるのは、登録記号「JA344J」のボーイング737-800。10月31日20時40分にJL674便として大分から羽田に到着し、翌1日にJAL第1格納庫にドックインした。

登録記号、JA344Jのボーイング737-800に特別デザインが施される。
話をうかがった、羽田航空機整備センター 機体点検整備部 構造塗装技術室 塗装技術課 清水秀文氏。

 まず行なったのは機体洗浄に備えた客室窓のマスキングだ。ラッピング前の洗浄は、通常の機体洗浄のような洗剤と水ではなく溶剤を使って水分や油分などを除去する。そのためアクリル製の窓や、APUの空気取入口や排気口周辺を保護する必要があるのだ。なお、今回はこうした作業に主に高所作業車を用いているが、格納庫のポジションや機種によっては機体を整備用の足場で囲って行なわれる。

 続いてラッピングに備えて、デカールを貼らない非常口や貨物ドアのエッジ部分、高度や速度の計測に使うスタティックポート(静圧孔)などもマスキングしていく。とりわけスタティックポートは周辺の広い範囲をマスキングするが、これはRVSM(短縮垂直間隔)で必要な精度を得るために、この範囲は塗装などをしてはならないと決められているからだ。当然ながらデカールを貼ることもできない。

 また737では、客室窓の下の帯状の部分は定期的な構造検査が必要とされているため、原則としてラッピングは行なわない。どうしてもラッピングする場合にはいったんデカールを剥がして検査したうえで、再び新しいデカールを貼付しなくてはならなくなる。

 こうしたマスキング作業と並行して、胴体の「JAPAN AIRLINES」や「UNICEF」という文字の上に無地の白いデカールも貼る。上から図柄のあるデカールを貼ったときに、下地の文字が透けないようにするためだ。

 今回見せていただいたのはこうしたマスキング作業までだったが、この後は機体に水平・垂直の基準線を引き、それに合わせてデカールを仮止めしていく。こうしてデカールの図柄と機体(とりわけ窓にかかる部分)がぴったりと合うことを確認したうえで、いよいよデカールを貼っていく。

 ちなみに窓にかかるデカールにも切り欠きのようなものはないので、マスキングされた窓の上からペタリと貼ったうえで、あとでマスキングと一緒に切り離す。そのためマスキングにはデカールをカットするテープが使われている。

デカール貼りを前に溶剤を用いた洗浄が行なわれるため、APUの排気口なども保護のために覆う。
客室窓やスタティックポートにマスキング。フチに貼られた緑色のテープはカッターとして機能するもので、デカールを上から貼ったあとに緑色のテープを引っ張ることで、デカールをくり抜くように切り離すことができる。
UNICEFなどのロゴの上には、デカールを貼った際に透けないよう、白いデカールを貼付する。

 作業は基本的に1日10名(早番5名と遅番5名)の整備士で行ない、1枚のデカールは2名1組で貼っていく。今回のデカールは全部で94枚あるが、1枚のデカールを貼るのに10分近くはかかるというから、貼付前の洗浄やマスキングなどの作業を含めると5日程度はかかってしまう。かつて747のような大型機では片側200枚ものデカールを貼ったこともあるというから、気が遠くなるような作業といえるだろう。

 なおデカールは音速に近い風を受けても剥がれないように、後方のデカールの上に前方のデカールの端が重なるように貼っていく。ただし、それでは後方からしかデカールを貼ることができないので、重なる部分は貼りつかないように養生したうえで作業を進め、最終的に養生テープを剥がして密着させる。

 また上下のデカールを合わせる場合には、上方のデカールの上に下方のデカールが重なるように貼る。これは迎角を取って飛ぶために、やや下からの気流を受けるためだろう。こうしてデカールを貼り終えた後は、さらにエッジの部分から剥がれにくくするために、刷毛で固定剤を塗布していく。

 さらに先の話になるが、ラッピング期間が終わったらデカールを剥がし、やはり機体を洗浄する。デカールは貼付時に気泡が入らないように小さな穴が開けられているため、剥がしたあとにはその穴の部分にポツポツと汚れがつくのだという。

 これまでデカールを使った特別デザイン機は、「貼ればいいのだから塗装よりも簡単だろう」という気持ちがなかったわけではない。しかし実際にはとても手間がかかる作業であり、大変な思い込みだったかもしれないと反省しながら認識を新たにした。

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