秋のフィレンツェと、美しきステファノ・バルディーニ美術館~旅のヒントBOOKより

こんにちは! 旅のヒントBOOK編集部です。
旅のヒントBOOKは主に現地在住者やその地のリピーターを著者に迎え、大切な友人を案内したいスポットを厳選してご紹介するガイドブックシリーズです。
現在、50を超える国と地域がラインナップしています。
さらに、このシリーズから派生した海外関連のさまざまな書籍を製作しています。
今回は、イタリア・フィレンツェに30年暮らし、滞在型アパートのコンサルタントなどを行う奥村千穂さんによる現地レポートをお届けします。
フィレンツェは秋がハイシーズン
フィレンツェでは9月に入ってもまだ夏の暑さを引きずっています。とはいえ、日没が少し早まり、夕方に涼しい風が吹き秋の訪れを感じるようになりました。これからフィレンツェは、一年で最もツーリストが多いハイシーズンに入ります。
なぜ秋のフィレンツェが、最も人気があるのでしょう? 名産のワイン、地元産のトリュフやポルチーニキノコなど豊富な秋の食材、そしてルネサンス美術の芸術鑑賞――。それらが人々の秋の旅心をそそるのかもしれません。
フィレンツェを初めて訪れるなら、有名なウフィッツィ美術館とアカデミア美術館は外せないでしょう。でももう1軒だけ美術館で心に残る作品との出会いを求めるのであれば、私はステファノ・バルディーニ美術館をお勧めします。
記憶を封じ込めた空間
グラーツィエ橋のすぐそば、ウフィッツィ美術館の対岸にある美術館の建物は、1880年に骨董商ステファノ・バルディーニが自らのショールームとして改装します。1865年、フィレンツェは一時的にイタリア王国の首都となりました。古い街並みや建造物が次々と取り壊され、首都にふさわしい新たな広場や道路が建造される中、バルディーニは中世からルネサンス時代までの絵画、彫刻、建築装飾を大量に蒐集します。静かな展示室に整然と並べられた多くの美術品は、当時、慌ただしく取り壊され失われてしまったフィレンツェの中世の姿を大切に保存しようとした骨董商バルディーニの情熱を伝えています。
コレクターの世界観を感じる
後にバルディーニ・ブルーと呼ばれる壁の独特の青色は各展示室の明るさによりトーンが変わり、展示物とのコントラストが不思議な効果をもたらしています。
見所は壁一面に配置された13世紀から16世紀の聖母像。バルディーニの蒐集家としてのこだわりが同じテーマをマニアックに集めた展示に現れています。彼がその取引で財を成したといわれるタペストリーのコレクションや、甲冑や武器、そして中世に制作された額縁すらも美術品として大切に展示するスタイルはコレクターならでは。
ちょっと人混みに疲れたら、この美術館で静かにフィレンツェという街の歴史を感じてみてください。すぐそばには景色の良いバルディーニ庭園があり、そこから見下ろす美しい街の眺めは格別です。
奥村千穂 / Chiho Okumura
1996年よりフィレンツェ在住。現地アパートの紹介サイトLA CASA MIAでフィレンツェの滞在型の旅を提案。また、医療通訳として現地対応業務も行う。向井真理子との共著に『季節で綴るフィレンツェ202 世界でいちばん美しい街の愛おしい毎日、とっておきの場所』(イカロス出版)がある。
Webサイト:フィレンツェ田舎生活便り2

旅のヒントBOOK『フィレンツェとトスカーナの街へ――美しい街歩きと日帰り旅』奥村千穂 著
フィレンツェ在住歴30年で、長年ブログなどで情報を発信し続けている著者が、フィレンツェを満喫する14の楽しみ方をご紹介。イタリア式の朝食案内からはじまり、夜の散歩まで盛りだくさん。さらに列車やバスなど交通手段別に、ルッカやシエナ、ワインの聖地キャンティ地方など、トスカーナの魅力的な街や村への旅情報もお届けします。
A5判/176ページ/定価1,980円(税込)
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