航空旅行

ANAビジネスクラスでバンクーバーへ。名店監修の和食と快適スタッガードで過ごす8時間の旅

夜に羽田空港を出発するANAのビジネスクラスに乗り込み、上質な機内サービスとともにカナダへと向かった。定評のあるフルフラットシートの快適性や無料Wi-Fi、そしてフライトのハイライトとなる鎌倉の京料理店「鎌倉 北じま」監修の贅沢な和食ディナーまで、あっという間に過ぎ去った8時間の体験をお伝えする。

文:芳岡 淳 写真:芳岡 淳
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搭乗した機体はボーイング787-9。2019年5月デリバリーのJA921A。

 夏がハイシーズンのバンクーバーだが、秋も紅葉や涼しく過ごしやすい気候など、大きな魅力がある渡航先だ。大自然を満喫しながらゆったりと過ごす旅にお勧めのバンクーバーまで、ANAのビジネスクラスに搭乗して向かった。

 8月末までは成田発の便も運航されていたバンクーバー線だが、現在は羽田=バンクーバー線の1往復のみとなっている。それでもデイリー運航されていることから、日付に縛られることなく柔軟に旅程を組むことができるだろう。

 現在、羽田空港発着のANA国際線は第2ターミナルと第3ターミナルに分かれているが、バンクーバー線をはじめ、シアトル線、サンフランシスコ線といった一部の北米路線は、第3ターミナルから出発する。

羽田空港 第3ターミナルの専用チェックインカウンター。

 羽田空港第3ターミナル出発階の中央エスカレーターのすぐそばに位置するのが、ANAのビジネスクラス搭乗時に利用できる専用チェックインカウンターだ。

 ここでチェックインを済ませ、そのままエスカレーター裏にある保安検査場へと向かう。こちらもビジネスクラスは保安検査場の優先レーンを利用することができるため、混雑を避けてスピーディーな出国が可能だ。

羽田空港第3ターミナルの「ANA LOUNGE」の様子。

 出国後は、110番搭乗口付近にあるANA LOUNGEへと向かう。バンクーバー行の出発時刻は21時55分。約2時間前に出国するとちょうど夕食の時間と重なることから、お腹も空いてくる頃だ。離陸後に機内食が待っていることが頭をよぎるが、ついつい「ANA オリジナルチキンカレー」や「黒マー油香る とんこつ風ラーメン」に手を伸ばしてしまう。

機材は787-9。「ANA BUSINESS STAGGERED」の安心感

 羽田=バンクーバー線に投入されている機材は、246席仕様の787-9。中距離路線向けの機材で、バンクーバー線のほかにはシアトル線や東南アジア路線を中心に投入されている。ビジネスクラスは、1-2-1のスタッガード配列が採用されており、1から11列目までの計40席が配置されている。

ANA BUSINESS STAGGERED。今回筆者はビジネスクラスAコンパートメント部分の最後部「8C」を選択した。

 搭載されている座席は「ANA BUSINESS STAGGERED(ビジネス・スタッガード)」。2010年の登場からすでに16年が経過しているシートだが、すべての座席からダイレクトに通路へアクセスできるという現代のスタンダードを作り上げたともいえる座席だけに、今なお最新プロダクトにも劣らない快適性が確保されている。

座席すぐ側にIFEを操作するリモコン、ユニバーサル電源、イヤフォンジャック、USB Type-Aに対応するUSBボートを搭載。

 プロダクト面に関しても、ユニバーサルPC電源やUSBポートが搭載されていることから、機内でのモバイルバッテリーの使用制限が厳しくなっている昨今でも、電子機器の充電は心配無用だ。

 パーソナルディスプレイは18インチのモニターを搭載。最新の「THE Room」に搭載されている24インチの4Kモニターと比較すると小さいことは否めないが、エンタメ機能を満喫するには十分な性能といえるだろう。

 これまでもANAのビジネスクラスを利用したことのある方であれば、見慣れたこのシートを目にすると、もはや家のような安心感すら覚えるのではないだろうか。

ビジネスクラスのアメニティキット。ポーチの形状や色はタイミングによって異なるようだ。

 各座席には、アメニティキットとしてイタリア・ミラノで創業した老舗皮革ブランドの「FRANZI」のポーチが置かれている。

 高級感あふれるポーチのなかには、「CULTI MILANO」のリップバーム、ハンド&ボディローションと歯ブラシ、アイマスク、耳栓が入っている。

 特にポーチは汎用性が高く、お土産として持ち帰るにもうれしい一品だ。

無料Wi-Fiも完備。快適な夜間フライトがスタート

着席してすぐにウェルカムドリンクとして「スパークリングワイン」をいただいた。

 着席すると早速客室乗務員の方がビジネスクラスの乗客一人ひとりにあいさつをしながら、ウェルカムドリンクを提供してくれる。ドリンクはスパークリングワインまたはオレンジジュースから選ぶことができる。

 ほぼ定刻通り109番スポットからプッシュバック。国内線の出発便はすべて終了している時間帯のため、スムーズにRWY16Lから離陸した。

離陸後、早速コードを入力してWi-Fiにアクセス。スムーズに接続できる。

 ビジネスクラスであれば、フライト中に機内Wi-Fiサービスを無料で利用することができるのも魅力だ。搭乗前に、無料機内Wi-Fiに接続するためのバウチャーコードがアプリまたはEメールで送付されるため、接続時にそのコードを入力するだけでインターネットを利用できる。

 機内Wi-Fiは離陸の5分後から、着陸の5分前から利用が可能。エリアなどの状況によっては接続が不安定になることも珍しくないが、バンクーバー線においては飛行中で接続が途切れることはほとんどなく、快適にブラウジングを楽しむことができた。

機内食は「THE CONNOISSEURS」厳選、鎌倉の名店による和食コース

アミューズとして提供される「アンチョビとチーズのグジェール ホワイトチョコレートとパプリカ風味南瓜のキッシュ ペカンナッツ」。
前菜には「おかひじきお浸し、茗荷甘酢漬け、燻製酢牛蒡、小芋の唐揚げ茄子揚げ浸し、丸十レモン煮、蛸柔らか煮」、小鉢に「蓮根、利休麩、法蓮草、胡麻和え、大根、春菊、いぶりがっこ、赤蒟蒻、白和え」「穴子の袱紗寿司、蓮根と木耳のきんぴら、赤蕪の甘酢漬け」と充実の品が並ぶ。
主菜には「牛肉の白味噌と酢橘の味噌煮、ハタの味醂干し、南瓜煮、鮎煮、牛蒡煮、蕪梅酢漬け」に合わせてANAオリジナルの御飯、味噌汁、香の物が提供される。

 巡航高度に到達すると、機内食の提供が始まる。メニューは出発の24時間前までオンラインで事前予約が可能だ。もちろん、機内食のメニュー・ドリンクは路線や搭乗時期により異なるが、今回チョイスしたのは、国内外の著名シェフやワイン・日本酒のプロ、ANA専属シェフで編成される機内食監修チーム「THE CONNOISSEURS」に新メンバーとして加入した、北嶋靖憲氏が監修する和食メニューだ。

 「鎌倉 北じま」の店主である北嶋靖憲氏は、京都の名店「和久傳」の室町・高台寺・京都の三店舗で研鑽を積み、2021年に地元の鎌倉で開業した、京料理のスペシャリストだ。この和食メニューは、9月〜11月にかけて「秋」をテーマにした献立となっており、前菜、小鉢と主菜が分かれて提供されるコース形式となっている。

 出汁の効いた上品で深みのある味わいの前菜は、まさに和食の真骨頂ともいえる美味しさ。白味噌で炊いた牛肉に酢橘を添えた主菜も、ANAオリジナルである白米と味噌汁との相性が抜群で、日本食の美しさ、繊細さを最大限に感じられる。

食後のデザートも丁寧な盛り付けで提供される。

 食後のデザートには、マロン、フルーツ、チーズの盛り合わせが提供されるが、ありがたいことに客室乗務員の方から「全部召し上がりますか?」とお声掛けいただいた。まさに甘党にはたまらないデザートのセレクションだ。メインディッシュで満腹になっても、別腹でスイーツを楽しむことができる。

スリランカ最古の紅茶ブランドである「ジョージ スチュアート」から3種のフレーバーを楽しむことができる。

 そしてデザートに合わせるのには、紅茶が欠かせない。ANAでは、「ジョージ スチュアート」の3種のフレーバーを扱っており、ヴィンテージ アールグレイ、イングリッシュブレックファスト、ロイヤルデライトから選ぶことができる。

 選ぶ際には、客室乗務員が木箱に入った3種のティーバックを持ってきてくれる。気分も高まる瞬間だ。筆者は、フルーティな味わいが特徴であるロイヤルデライトをいただいた。

アラスカ沖で迎える夜明け。到着前の軽食に味噌ラーメン

機内食の後はベッドメイクをして、就寝。広々としたスペースでゆったりとくつろぐことができる。

 機内食が終わるころには、すでに離陸から3時間が経過。この時点で残り時間は5時間程度となり、ぐっすり睡眠を取るには物足りないのが、西海岸路線の悩ましいところでもあるだろう。それでもフルフラットシートで横になれることは、フライトにおける疲労度を大きく軽減してくれる。座席にはあらかじめ、シートの段差が気にならないよう配慮されたマットレスが用意されているのもうれしいポイントだ。

 また、ヘリンボーンタイプとは異なり、横になって足を伸ばしたときのスペースが狭まらず、余裕があることもこのシートのよい点だ。

外が明るくなってきたことに気づき1枚撮影。ほぼ太平洋上を飛行するため、地上の景色は見られないが、空模様が美しい。

 筆者も少しばかり横になって仮眠を取ったが、ほどなくして外の空が明るくなってきたことに気がつく。機体はアラスカの南側に差し掛かるあたりだ。

軽食にANAオリジナルの濃厚ねぎ味噌ラーメンをオーダー。日本発なので日本食にはまだ飢えていないが、海外発便ではとんこつ風ラーメンが提供されるとのことで、海外滞在のあと、ラーメンを口にしたときの感動は容易に想像できる。

 到着2時間半前になると照明が灯され、軽食が提供される。軽食も複数のメニューから選ぶことができ、筆者は「ANA オリジナル ~恵みの北海道 ~ 濃厚ねぎ味噌ラーメン」をチョイス。

 ほどよく生姜の効いた、身体が温まる味噌ラーメンは、少し冷えた機内では身に染みる美味しさだ。

 なお、今回は到着2時間半前に軽食のサービスが行なわれたが、1回目の機内食が終わり次第いつでもお願いできるとのことで、早めに小腹が空いてしまったときにも安心だ。

あっという間の8時間フライト。米国への乗り継ぎ利便性の高さも魅力

8時間10分のフライトを終えてバンクーバー国際空港RWY08Lへと着陸。

 バンクーバー北部に位置する山岳地帯の南側を降下しながら飛行し、空港へのアプローチを進める。あいにくの曇天であったが、晴天時は左手に美しい山脈が広がる姿が想像できる。こちらは次回の楽しみに取っておこう。

 そして現地時間14時32分にバンクーバー国際空港RWY08Lへと着陸。日本との時差は16時間あり、時間が逆戻りした感覚になる。

 それにしてもビジネスクラスでの8時間というのは、あっという間だ。少しゆっくりする時間が足りないと思えるのも、シートプロダクトが優秀であることに加えて、丁寧かつ時間を感じさせないサービスの質があるからこそだろう。

 バンクーバー国際空港は、ターミナルの動線が非常に分かりやすいことも特徴だ。NH116便が到着するのは他の到着便が少ない時間帯でもあり、人混みにもまれず、入国審査から荷物受け取りまで待ち時間なく快適に進むことができる。

 また、同空港を活用した米国各地への乗り継ぎもお勧めだ。米国へと乗り継ぐ方は、バンクーバーで米国の入国審査を受けることができ、この待ち列も短い。米国への直行便で到着して審査を受けるよりも時間を節約できる可能性が高く、バンクーバーを最終目的地としなくても活用できるのも魅力の一つだと感じられた。

筆者はこの日、そのままアメリカへと乗り継いだため、「Connections」を目指して進む。アメリカへの入国審査も混雑はなく、スムーズであった。

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