特集/本誌より

ANAのバンクーバー行き、NH116便で体感した“旅の始まり”の心地よさ

ANAが6月5日から期間限定で成田=バンクーバー線を開設し、東京=バンクーバー間を1日2便体制で結ぶ。現在運航している羽田発バンクーバー行きNH116便に搭乗。現地へのフライトをレポートする。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
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羽田空港第3ターミナルの109番で出発の準備が進むボーイング787-9。この日のバンクーバー線に使用されるJA902Aだ。

 夏の旅行シーズンを控え、旅行先などを検討するこの時期。ANAによるバンクーバー路線の増便は、カナダという旅行先の選択肢を有力なものに引き上げる存在となるだろうか。そんなANAのバンクーバー路線事情が気になり、ANAの協力を経て、同社バンクーバー支店長にインタビューすべく現地へ向かったわけだが、フライトはもちろんANAの羽田発バンクーバー行きNH116便である。

 ANAは現在、羽田=バンクーバー線をデイリーで通年運航しているが、これに加えて、6月5日から8月31日まで成田=バンクーバー線もデイリー運航。東京=バンクーバー間を1日2便の体制で結ぶことになる。

 羽田線、成田線はそれぞれに特徴があることは、バンクーバー支店長へのインタビュー記事でも紹介しているが、改めてまとめておくと、羽田=バンクーバー線は、都心からのアクセスの良さに加え、羽田を夜間に出発、バンクーバーを夕方に出発することで、日本、カナダそれぞれの日中を有効活用しやすいスケジュールが魅力だ。仕事帰りにそのまま空港へ向かうビジネスパーソンや、限られた日程をフルに活用したい観光客に便利なのである。

 一方で成田=バンクーバー線は、豊富な国際線ネットワークとの接続性が高いことに加えて、成田到着後に国内線にも乗り継ぎやすく、日本人にとっての乗り継ぎ利便性が高いことが、成田発着便のイメージとは少し異なる意外な魅力になっている。

【ANAの東京=バンクーバー線】
NH116便:羽田(21時55分)→バンクーバー(14時50分)着
NH115便:バンクーバー(16時45分)発→羽田(翌19時00分)着

NH136便:成田(17時55分)→バンクーバー(10時40分)着
NH135便:バンクーバー(12時30分)→成田(翌14時40分)着
※NH136便/NH135便は6月5日~8月31日運航

バンクーバー行きNH116便の搭乗口。この日は109番ゲートから搭乗。

 さて、この路線で主に使用されている機材は、ANAの国際線中長距離路線の主力機、ボーイング787-9だ。基本的には246席仕様の機材が投入されており、この日のフライトは「JA902A」が使用された。

 機内に足を踏み入れ、利用するエコノミークラスへと向かう。機内は活気があり、座席は9割ほどが埋まっているように見え、その大半が外国人の旅客のようであった。日本人の少なさに寂しさを覚えるところもあるが、日本を離れる前から、異国情緒を強く感じる機内もまた楽しい。

 そして、NH116便はほぼ定刻通りに羽田空港を離陸し、夜の空へスムーズに飛び上がった。夜間の出発ということもあり、離陸してしばらくすると機内は落ち着いた空間へと変わっていく。シートモニターの機内エンターテインメントを操作して映画を探索する人や、就寝のための準備を進める人など、これからの長い飛行時間を楽しむため、周囲の乗客たちは思い思いの時間を過ごしはじめる、飛行機旅らしい空間に包まれていく。

エコノミークラスの客室。
機内エンターテインメントは9インチモニターで楽しめる。USB電源のほか、足元にユニバーサルAC電源を備えている。

 多少の揺れが発生したこともあってシートベルト着用サインが長めに点いており、機内サービスのスタートも多少待つことになった。今回座った最後方のエリアでは、2つの通路に対してそれぞれ2名ずつ、計4名の客室乗務員が手際よくサービスを担当していた。常に爽やかな笑顔に満ちており、遅れを取り戻すかのようなスムーズさだ。こうした温かいサービスを受けられるのは本当に心地よい。

エコノミークラス最後方のエリアでは4名の客室乗務員が2つの通路に分かれてサービスを実施。
少し遅れてのサービス開始となったNH116便だが、笑顔の客室乗務員と、機内食を楽しみする乗客で、客室内は和やかなムードに包まれる。

 このNH116便では、離陸後のディナーと到着前の食事の2度の機内食が提供される。ディナーは、和食と洋食の2種類から選ぶことができる。この日の和食は「鶏てりやき丼」、そして洋食は「デミグラスビーフハンバーグ 八穀ライス添え」というラインナップであった。今回は洋食の「デミグラスビーフハンバーグ 八穀ライス添え」をチョイスすることにした。

 運ばれてきたトレーの上は、副菜も非常に充実しており、前菜には彩り鮮やかな「サーモン・玉子・インゲンのサラダ」、小鉢には手の込んだ「絹ごし豆腐の肉味噌なめ茸餡」が並び、さらにサラダ、ブレッド、クラッカーが所狭しと配置されている。そして食後のデザートとして、お馴染みのハーゲンダッツのアイスクリームが控えているというメニューだ。

 メインのデミグラスビーフハンバーグは、デミグラスソースが非常に濃厚でありながらも、絶妙な酸味が効いていて、重すぎずほどよい味わいに仕上がっている。さらに、お供の八穀ライスが素晴らしい役割を果たしていた。その食感と素朴な風味がハンバーグの濃厚さをうまく和らげつつ、新たな風味がやさしいスパイスのようにふわりと効いてくるのだ。食べ比べたわけではないのだが、この洋食のチョイスは自身のなかで“当たり!”と納得できる、大満足のディナーとなった。

食事前のドリンクサービス。軽いスナックとともに。
「デミグラスビーフハンバーグ 八穀ライス添え」をメインに、ボリューム感のある機内食。文中でも触れたとおり、メインの美味しさは格別でクセにある味わいだった。

 トレーが回収される頃には、離陸してから3時間ほど経過し、機内の照明が静かに落とされる。フライト時間は約8時間なので、バンクーバー到着までは残り約5時間ということになる。到着前の食事は通常2時間前にサービスされ始めることを考えると、それまでは3時間くらいだろう。

 その間、若干ウトウトしながら時間を過ごしたが、やはり3時間ほどでアナウンスとともに食事が配られ始めた。手軽に食べられるボックスタイプでの提供である。ヒコーキの窓を模した窓が付いているかわいい箱を開けてみると、なかにはサンドイッチ、フルーツ、ヨーグルト、そしてキットカットが入っていた。

 先のディナーから3時間ほどであるし、バンクーバーへの到着予定時刻は定刻で14時55分である。現地のディナータイムまであと4~5時間ほどと考えると、このくらいのボリュームがちょうどよさそうだ。

 時間の話でいえば、フライト時間が8時間ほどで、食事と食事の間が3時間というのも、ちょうどいい。出発が日本の深夜にさしかかる時間なので寝て過ごす人が多そうだが、到着後に最初の夜が眠れなくほど長時間の睡眠にはならない。逆に起きて過ごすにも長すぎない。これはバンクーバー旅行の魅力とも言えるだろうが、時差の影響を抑えて快適に過ごせる、絶妙な時間のように思える。

到着前の食事は、飛行機をモチーフにした窓が付いている箱に入って提供される。
サンドイッチにヨーグルトやフルーツなど、軽めの食事。
カトラリーは環境負荷に配慮した木製のものが添えられていた。

 その後、飛行機は順調に高度を下げ、ほぼ定刻通りにバンクーバー国際空港のD70スポットに到着した。窓の外には自然の豊かさを感じさせる山並みと抜けるような青空が広がっており、これからの滞在への期待が高まる。

 飛行機を降りてからの流れも快適だった。ANAバンクーバー支店長の言葉どおり、この時間帯にバンクーバーに到着する他社の国際線が少ないことも幸いし、入国審査場は非常に空いている。設置されているキオスク端末を使ってサクサクと手続きを済ませ、手荷物受取所で自分のバッグをスムーズにピックアップ。そのまま税関を抜け、30分ほどで制限エリアの外へ出ることができた。

 長時間のフライトのあと、さらに空港で延々と待たされるのは海外旅行の宿命のようなところがあるが、やはり素直に疲れる。この「ストレスフリーで速やかに入国できる」という点は、ANAの羽田=バンクーバー線を利用するうえで、極めて大きなメリットであると言えよう。快適なフライトと入国手続きのスムーズさのおかげで、気持ちよくカナダ旅行をスタートできるのだ。

バンクーバー国際空港に到着したNH116便。自然の豊かさが伝わってくる情景に、旅への期待が高まる。

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