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航空機を利用した人身取引防止に向けて、ANA、JAL、羽田空港らが連携。主要3空港での啓発活動や航空業界合同研修を実施

ANAホールディングス、JAL、日本空港ビルデングなどは、7月30日の「人身取引反対世界デー」に合わせ、航空機を利用した人身取引防止に向けた連携を発表した。主要3空港での啓発デジタルサイネージ掲出に加え、最前線スタッフが参画する初の合同研修を開催し、業界全体で抑止力の強化を図る。

文:多和田新也(編集部) 写真:多和田新也(編集部)
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航空機を利用した人身取引防止に向けた取り組みについて説明した。(左から)日本航空株式会社 人財本部副本部長 江尻祐子氏、日本空港ビルデング株式会社 サステナビリティ推進担当役員兼常務執行役員 高橋 歩氏、ANAホールディングス株式会社 執行役員兼グループCSO 保谷智子氏。

 ANAホールディングス(ANAHD)、JAL、日本空港ビルデングは、7月30日の「人身取引反対世界デー」に合わせ、航空機を利用した人身取引防止に向けた官民・業界連携の取り組みを実施することを発表した。

 世界では多くの人々が人身取引の被害に遭っており、その移動手段として航空機が悪用されるケースが後を絶たない。航空会社が提供するサービスが意図せず犯罪の移動手段として悪用されるリスクがあることから、航空会社や空港会社、国連IOM(国際移住機関)、IATA Japan(国際航空運送協会)、警察庁などの関係機関が一体となり、社会全体の防犯意識向上と現場の対応力強化に取り組む。

 その一環として、一般の空港利用者へ向けた認知向上および社会全体での抑止力向上を目的に、啓発デジタルサイネージキャンペーンが展開される。実施時期は7月下旬から8月末まで。

 2025年度はANAHDが主導し成田空港のみで実施されたが、今年度は新たに羽田空港および中部国際空港が参画し、3空港に規模が拡大された。対象空港のデジタルサイネージで、国連IOMより提供された一般利用者向けの人身取引防止啓発動画を放映する。空港とエアラインが連携して啓発活動を行なう取り組みは、世界的に見ても稀な事例だという。

 7月28日には、JALとANAHDの共催で合同研修が開催される。2024年に実施したフォーラムを通じて業界全体の課題認識を共有したことを受け、より現場に即した実践的なフェーズへと取り組みを深化させたものになるとしている。研修には、両グループの客室乗務員や地上旅客スタッフなど、最前線で働く社員が一堂に会するほか、日本空港ビルデングも参加する。

 研修の第1部「知見の共有」では、国連IOMよりグローバルな人身取引の現状と航空業界に求められる役割についての講演が行なわれるほか、IATA Japan、成田国際空港(NAA)、日本空港ビルデングなどの関係機関および空港運営会社から、各セクターにおける具体的な取り組み事例や連携の重要性が共有される。第2部「混成チームによるディスカッション」では、会社や職種の枠を越えた混成チームを編成し、日々の業務のなかで直面する違和感や気づきをもとに、実際の事例を想定したケーススタディ形式で意見交換を行なう。

 この取り組みに際して、ANAHD 執行役員兼グループCSOの保谷智子氏は、「人身取引は身近な人権侵害であり犯罪であって、これを知ってもらうことが大きな抑止力につながる」と述べ、JALとの初の合同研修の開催も含め、「業界全体で対応力を引き上げ、誰もが安心して移動できる社会を目指す」との姿勢を示した。また、この取り組みの目的は検挙や摘発そのものではなく、「安全で快適な空の旅を提供するために、不審な点があれば連携して当局に伝え、事前に犯罪になり得ることを防ぐこと」であると説明した。

 JAL 人財本部副本部長の江尻祐子氏は、JALの取り組みとして、人身取引防止を人権尊重における重要課題の一つと捉え、2020年に社内通報要領を定めて機内で疑わしいケースに遭遇した際に適切に通報できる体制を整備し、全社員向けの教育を毎年実施してきたと紹介。「この課題解決には業界全体の連携が不可欠であり、フロントラインスタッフが競合という垣根を超えて連携し、得られた学びや気付きを職場に持ち帰って活かすことが、抑止力を高めるうえで効果的である」と強調。普段と違う行動や発言、家族のように装っているが不自然であるといった「少しの気づき」を大切にし、一般の乗客にも、「気づいたことがあれば空港スタッフへ声をかけてほしい」と呼びかけた。

 日本空港ビルデング サステナビリティ推進担当役員兼常務執行役員 高橋 歩氏は、「羽田空港旅客ターミナルの建設や管理運営を担う企業として、サプライチェーンを含めた人権尊重は重要な経営課題であると考えている。航空輸送を用いた人身取引も重要テーマと認識しており、航空会社をはじめとする関係者との連携強化につながる重要な機会であると考え、取り組みへの参画を決定した」と意図を説明。人身取引は一社だけで防止できるものではなく、「それぞれの立場から得られる気づきや知見を共有・連携して取り組むことに意義があり、研修や啓発活動を通じて実態を知ってもらい、組織の垣根を超えた連携によって抑止力向上に貢献していく」との意気込みを示した。

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