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富山空港の新愛称は「富山高山すし空港」。岐阜県の地名「高山」が空港名に

富山県知事は定例記者会見において、富山空港の新たな愛称を「富山高山すし空港」に決定したことを発表した。厳しい状況に置かれた地方空港の活性化に向け、世界的に知名度が高いワードを盛り込むことでインバウンドの認知度向上と利用促進を狙う。

文:本誌編集部
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「富山高山すし空港」の新愛称を発表する富山県の新田知事。(富山県Webサイトより)

 富山県は7月8日、新田八朗知事の定例会見で、富山空港の新たな愛称を「富山高山すし空港」とすることを発表した。

 富山空港は、2012年に決定した愛称「富山きときと空港」が13年余りにわたり使用されてきた。しかし、この春からのコンセッション方式導入に伴い、民間事業者による空港運営が開始されたものの、2025年度の空港利用者数は前年度比で減少。国際定期便については台北便が約6年半ぶりに再開することが決まったが、多くの路線で運休が続くなど、厳しい状況に置かれている。

 航空業界全体を見ても、コロナ禍を経たビジネス環境の変化、物価高、燃油高、人手不足などの影響があり、地方空港を取り巻く環境は国内線、国際線ともに楽観できる状況にない。こうしたなかで空港を活性化し、台北便の安定運行や運休中の国際定期便の復便、利用促進につなげるため、成長するインバウンド市場を視野に入れてマーケティングの観点から全世界に富山空港と富山県の認知度を高めることが重要視された。

 このような背景のなか、空港運営事業者から空港の愛称を変更してはどうかとの提案がなされた。これを受け、県においてもブランディングの専門家や県議会での意見を踏まえ検討を続けた結果、新たな愛称を「富山高山すし空港(英語表記:Toyama-Takayama Sushi Airport)」に決定した。前回の愛称決定時とは異なり空港の運営主体が民間へ変わったことや、効果を早急に発揮させる必要があることから、今回は公募を行なわずに決定されたという。

 新愛称に決定した最大のポイントは、富山を知らない海外の人々に富山空港および富山県の存在を認知してもらうきっかけを作ることにある。数文字の愛称のなかに富山の多様な魅力や観光資源をすべて盛り込むことは現実的に難しいため、インバウンドの目に留まり関心を持ってもらうためのインパクトと分かりやすさが重要視された。

 「すし」を冠した理由について知事は、「寿司は世界的に認知度が高く、誰でも直感的に理解できる、いわば世界の共通語と言ってもいいワードだと思う」と述べる。英語表記における「Sushi Airport」の部分は他に例のない呼称であるとし、旅行前に訪問先を検討するインバウンドの関心を引きつける強力なフックとして機能させ、富山空港や富山県を知るきっかけにする狙いがある。

 また、県のブランディング戦略である「寿司といえば富山」の発信強化にもつながり、認知度向上に貢献できると考えられている。専門家からは「漢字が全部続くとちょっと重いよね」という意見があり、音としてのリズムの良さも考慮された。なお、和歌山県の「南紀白浜リゾート空港」のように地名に地域の価値を組み合わせる先例にも通じる組み立てであるという。

富山空港のWebサイトもさっそく「富山高山すし空港」に変更された。

 一方、「高山」を冠した理由は、外国人宿泊者数が年間100万人に及ぶほどインバウンドの人気が極めて高い世界的な観光地であるためである。インバウンドにとって空港は目的地に向かうための旅の拠点であり、どのエリアへの玄関口となるかを分かりやすく示すべく、高山の名を冠することで、富山空港が県内のみならず飛騨高山地域への空の玄関口であることを認知させ、利用者を増やしたい考えだ。そのうえで、富山県内での滞在時間の増加や消費拡大、行政の境界を超えた広域周遊の促進を目指すことになる。

 ちなみに、空港の愛称に県境を越えた地名が取り入れられる例としては、島根県の石見空港の愛称に、山口県の地名である「萩」を加えた「萩・石見空港」という先例がある。

 富山空港の愛称に高山を加えることについて、岐阜県の知事は、(民間機が発着する)空港がない岐阜県にとって「県としてありがたいなと思うことは富山空港に高山という名前がつくことで飛騨高山方面の入り口があることを世界に発信することになる」と歓迎のコメントを寄せている。

 また、高山市の市長からも、高山市民にとって富山県は大変身近で親近感のある地域であり、富山空港を通じたインバウンド誘致を一緒にやらせていただければ、との前向きな意見を得ているという。歴史的にもブリ街道などを通じて深いつながりがある両地域は、今回の愛称変更を機にさらなる連携強化を図る方針だ。

 現在の富山空港の利用者数は379,306人であり、「富山きときと空港」の愛称がついた2012年度の944,559人と比較して約60%減少している。これには2015年の北陸新幹線開業の影響もあるとされるが、知事は「この状況を何とかして変えていかなければならない」、「このままジリジリとお客さんが減っていくことを指をくわえて待っているということは、(空港という)大切な財産の運用、運営を任されている県としては責任を果たしていることにはならない」と危機感を示した。

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