夏の台中を涼やかに、アートとカルチャーを楽しむ一日~旅のヒントBOOKより

こんにちは! 旅のヒントBOOK編集部です。
旅のヒントBOOKは主に現地在住者やその地のリピーターを著者に迎え、大切な友人を案内したいスポットを厳選してご紹介するガイドブックシリーズです。
現在、50を超える国と地域がラインナップしています。
さらに、このシリーズから派生した海外関連のさまざまな書籍を製作しています。
今回は、台湾の旅・文化・暮らしを届けるWebマガジン『otona taiwan』編集長のコバシイケ子さんによるレポートをお届けします。
昨年末にオープンした話題の文化施設へ
台湾では旧暦5月5日の端午節を迎えると、いよいよ夏本番。端午節前は梅雨のシーズンということもあり、雨の日が多く、本格的な衣替えにはまだ早いとも言われています。
端午節は旧暦の祝日のため毎年日付が変わり、今年は6月19日。現地では3連休となりました。ちょうどこのタイミングで台中を訪れたのですが、直前までは雨の日も多かったようで、当日は夏を感じるような青空。目的は、2025年12月にオープンした最新の文化施設「台中緑美図」を訪れることでした。
日本人建築家ユニットが手掛けた
台中緑美図は、台中中央公園内に建てられた、美術館と図書館を融合させた大型文化施設です。設計を手がけたのは、日本人建築家ユニットSANAAと台湾の劉培森建築師事務所。建築そのものも大きな見どころです。台中の有名建築といえば、伊東豊雄氏が設計した台中国家歌劇院が知られていますが、新たな世界的建築が誕生したことで、国内外の建築ファンからも注目を集めています。
施設は市内中心部からやや離れた西屯区に位置し、公共交通機関を利用する場合は、MRT文心櫻花駅または文華高中駅から約3km。バスに乗り換えるほか、駅前や台中緑美図前にはシェアサイクル「YouBike」のステーションもあるので、自転車でも行くことができます。ただし、夏の日中はやはりUberやタクシーなどの利用が便利。料金は片道160元前後です。
歩く楽しみがあちらこちらに
巨大な建物はアルミメッシュに覆われており、遠くから見るとどこか無機質な印象を受けます。しかし近づいてみると、非常にスタイリッシュで、館内は凛とした涼やかさと自然に溶け込むような温もりが共存。「公園の中の図書館、森の中の美術館」というコンセプトを体感できます。
高さや形状の異なる8つの建物棟が連結され、図書館と美術館を自由に行き来できる設計も特徴です。館内は美術館の一部展示室を除き、無料で開放されています。
風が吹き抜けるメインエントランスは、どこからでもアクセスできる開放的な造り。中央には大きな水盤が設けられ、人々が行き交う賑わいのなかにも、水音と波紋がもたらす静けさがあります。
美術館の展示室へと続く緩やかなスロープや、図書館を結ぶブリッジ、緑が心地よい屋上庭園など、館内には歩く楽しみが散りばめられています。ガラス越しには広大な中央公園の景色が広がり、アートを楽しみながら自然も感じられるデザインが印象的です。
台中はアート&カルチャースポットが豊富
図書館は7階建て。館内は天井が高く、広々としており、子どもから高齢者まで、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。なにより素晴らしいと感じたのが、閲覧スペースの多さです。勉強に励む人の姿も多く見られましたが、座る場所に困ることがなさそうなくらい、至るところに机と椅子が配置されています。
休館日と日曜日を除き朝8時30分から夜9時まで利用できることもあり、こんな恵まれた環境を日常的に利用できることが、この街の豊かさのひとつなのだと改めて感じます。
館内には、台北のアートブックショップ「朋丁 Pon Ding」と、自家焙煎のコーヒーショップ「Pharos Coffee」も併設。センスのよい本や雑貨を探したり、公園を眺めながらスペシャルティコーヒーでひと息ついたりするのも癒しのひととき。
これから10月頃までは真夏日が続く台湾。台中には前述した台中国家歌劇院のほか、国立台湾美術館や国立自然科学博物館など、アートやカルチャーに触れられるスポットが点在しています。暑い季節だからこそ、涼しい館内で感性を磨きながらゆっくり過ごす時間もまた、台中を訪れたくなる理由のひとつです。
コバシイケ子 / Ikeko Kobashi
札幌在住。旅と暮らしのライター/『otona taiwan』編集長。初海外ひとり旅で訪れた台湾に魅了され、その後、台湾留学を経験。大人の女性に向けて、台湾の旅・文化・暮らしを届けるWebマガジンを編集・運営。

旅のヒントBOOK『台中と近郊の街へ――ゆったり味わう美食とレトロ建築の旅』コバシイケ子 著
台湾中部に位置する台中のとっておきのスポットをご紹介。特にグルメ情報が充実しているほか、日本統治時代の建築物やリノベスポットなどもご案内。さらに、「台湾のウユニ塩湖」と呼ばれる高美湿地、日本統治時代の趣ある街並みが残る彰化や鹿港、台湾屈指の景勝地・日月潭など、台中郊外や台湾中部の見どころもカバー。
A5判/160ページ/定価1,980円(税込)
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