連載
ルフトハンザ・エアバスA340-300のコクピットに乗って、フランクフルトへ【パイロットが乗客に! マニアック搭乗記】
長いフライトもいよいよラストスパート
進入を開始する少し前にコクピットを訪れ、気象情報を確認します。降下開始までは概ね良好の予想ですが、フランクフルト周辺に雷雲が一時的に存在するというデータが上がってきました。実際に進入準備を開始したあと、アプローチブリーフィング時にもそのことについてコクピットクルー間で対策を話し合います。しかしフランクフルトに近づくと、幸いなことに心配した積乱雲はほぼ影響なさそうなことが判明して、無事に進入ができそうです。
フランクフルトのターミナルエリア(進入管制圏)に入ると、管制との交信がとても忙しくなります。管制指示のリードバック方法や、それに対応するオートパイロットのモード変更時の確認(FMAコール)方法などは会社によって結構異なるところです。ルフトハンザのコミュニケーション方法も、私自身が在籍する会社と異なることが多く、見ているととても興味深いポイントです。

着陸直前には管制官から滑走路変更の指示がありましたが、パイロットは慌てることなく冷静に指示された滑走路にスムーズに着陸。フランクフルトの滑走路はアスファルトが波打っている場所があって、「せっかくスムーズに接地させたのにそのあとガタガタ振動するのは嫌だね」と操縦したパイロットが言っていました。
エアバス機はサイドスティックで操縦するので、コクピットの補助席(ジャンプシートまたはオブザーバーシート)からは操縦の様子がよく見えません。これがボーイングだと、パイロットの目の前の操縦桿が左右の席で連結されているので、どんな舵を入力しているのかよくわかって面白いのですが…。

フランクフルトのゲートまではスムーズに地上移動し、無事ブロックイン。世界広しといえど、どの国のどの空港も基本的には大体標準化されていて、パイロットだと初見でも大体違和感なく運航できるようになっています。ルフトハンザが使用するターミナルをコクピットから見るのは初めてでしたが、なかなか良い景色が堪能できたと思います。
以前も何度か他社のコクピットにお邪魔したことがある私ですが、改めてこうしてレポートを書くとなるとたくさん説明することがありました。長いフライトのほんの一部分ではありますが、リアルに感じ取っていただける部分があったら幸いです。A340-300という、引退間近の偉大な機種をみなさんもぜひ味わいに旅立ってくださることを祈りつつ、ペンを置きたいと思います。


関連記事
関連リンク