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東南アジア初のエンブラエルE2がテイクオフ! スクートのE190-E2が就航
2024年5月7日、スクートがエンブラエルE-Jets E2を就航させた。東南アジア初のE2オペレーターとなった同社。就航前に行なわれたお披露目イベントで実機を取材した。
ボーイング787、A320ファミリーに続く新たなフリート
イエローのコーポレートカラーが特徴的なシンガポール航空傘下のLCC、スクート。2012年の就航以来、長らくボーイング777と787というワイドボディ機でフリートを統一していた同社だが、2017年のタイガーエアとの合併を機にエアバスA320ファミリーを導入。その後もA320neo、A321neoとフリートを拡大し、2024年5月7日、エンブラエル190-E2(E190-E2)の運航も開始した。
エンブラエルE-Jets E2シリーズはベストセラーのリージョナル機、エンブラエルE-Jetsシリーズの後継モデルで、100席クラスのE190-E2と120席クラスのE195-E2が就航しているほか、短胴モデルである80席級のE175-E2が開発中。プラット&ホイットニー製のPW1900Gエンジンの採用などにより、従来のE-Jetsと比べて燃費が25%向上している。
スクートは2023年2月にE190-E2を9機発注していて、今回の運航開始時点で2機が引き渡し済みだ。2024年中にさらに3機を追加導入し、2025年に完納予定となっている。
初便就航の朝、盛大に行なわれた記念セレモニー
初便就航に先立ち、5月7日午前中にはチャンギ空港のD41番ゲートで記念セレモニーを開催。挨拶に立ったシンガポールのチン・ホン・タット交通大臣は2024年第1四半期のチャンギ空港の旅客数がコロナ前の水準を超えたことを挙げ、「今はパンデミックも終わり、次の数十年の発展に向けた議論をするとき。スクートのエンブラエルE2導入はチャンギ空港の更なる成長に向けた大きな節目となる」と語った。
続いて挨拶したスクートのレスリー・ティンCEOは関係者に感謝を示したうえで、「今日止まっているE190は“Explorer 3.0(冒険者3.0)”と名付けられています。“3.0”は弊社にとって3機種目だからです。この機種で、お客様を新しい冒険の旅にお連れしたい」と意気込んだ。またエンブラエルのマーティン・ホームズ最高商務責任者も祝辞を述べ、チャンギ空港のそばにE2のフルフライトシミュレーターと客室乗務員訓練施設をオープンしたことに触れながら「スクートが東南アジア初のE2の顧客となることに感激しています。この関係が末長く続くことを願っています」とコメントしている。
モノクラス112席という仕様を活かし、新路線の開拓や既存路線の多頻度化を実現
スクートのE190-E2はモノクラス112席仕様。ひと回り大きい180席級のA320・A320neoと比べて小ぶりな機体を活かし、新たな路線の開拓や、これまでA320ファミリーで運航されてきた路線の機材を小型化して運航頻度を増やす役割を担う。実際に2024年6月までにE190-E2が就航する予定の6路線のうち、タイのサムイ島とマレーシアのシブは新規就航、またタイのクラビはA320からの小型化により、週7往復から週10往復に増便する。
E190の航続距離は、飛行時間が概ね6時間程度の範囲。シンガポール発着ならば九州や沖縄も圏内となるが、現時点で同機種は東南アジアを中心に投入され、中距離路線への就航計画はない。ただしスクートはE2そのものによる新規就航以外にも、先述の小型化などにより空いたA320neo・A321neoを需要の高い路線の増便に充てるなど、「日本も含めたさまざまなマーケットを常に調査し、シンガポール航空グループ全体で連携しながら、最適な路線計画を立てている」(ティンCEO)とのことだ。
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