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札幌丘珠空港発:電動化する北海道エアシステムのトーイングトラクターとGPU
JALグループの中で北海道内のコミューター路線を中心に運航する北海道エアシステム。エコなターボプロップ機をうたうATR42-600で飛ぶが、3月6日には、本拠地・丘珠空港で使用するトーイングトラクターをEV化。あわせて、駐機中に用いる電源車両も電動化して披露した。
道民の翼として、HAC eco AIRPORTという取り組み
道民の翼として北海道の美しい自然を守るため、空港の脱炭素化に向けた設備投資を進めている北海道エアシステム(HAC)。そんななか、「HAC eco AIRPORT」の名のもと3月6日にデビューしたのが、リチウムイオンバッテリー式の電動牽引車「EVトーイングトラクター」と電源装置「eGPU」だ。どちらも北海道の空港で導入されるのは初である。
航空機の牽引に用いるEVトーイングトラクターはトヨタL&F社製(3TE25)で、積雪時の運用も想定してルーフとドア、そしてヒーターも装備。また、駐機中の機体への電力供給を担うeGPUは米ITW社製(7400シリーズ)で、トラックの荷台に設置する従来のディーゼル式との比較で、年間の二酸化炭素排出量を90%削減することが可能だ。丘珠だけでなく、今後は離島の環境保全という観点から奥尻空港や利尻空港にも早期導入を進め、両空港ともに間もなく4月からの運用開始を予定しているという。
なおHACではこれまで、出発予定時刻の15分前にGPUでの電源供給を開始し、プロペラを停止したまま右エンジンを始動するホテル・モードで機体の電源・空調を確保していた。この運用方式を来たる4月1日から変更し、エンジン始動のタイミングを出発直前まで遅らせることで、二酸化炭素の排出量をさらに低減する計画が発表されている。これによりホテル・モードによる1回あたりのエンジン始動時の比較において、70%もの低減効果が期待できる。
このように、車両や設備の電動化と運用の改良を合わせて取り組むことで、HACは「北海道の自然環境保護に貢献しながら、持続可能な空港運営を実現する」としている。