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ANA、空港サービスの「クオリティアワード」表彰式開催。安全保安・定時性・快適性を評価

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ANAクオリティアワードは、全国・全世界の空港から集まった現場スタッフの交流の場でもある。

 このANAクオリティアワードでは、安全保安、定時性、快適性それぞれの向上に貢献した取り組みで賞を獲得した空港所から、その取り組みを紹介するプレゼンが行なわれたほか、空港サービスの品質向上に資する取り組みや将来技術を紹介する「ANA DISCOVERY SQUARE」と名付けられた展示スペースが設置された。冒頭の岡氏のあいさつにもあったとおり、各空港スタッフのコミュニケーションから生まれるノウハウの共有によって、より高いサービスを目指すことも目的としているからだ。

 安全保安の取り組みでは、成田空港支店(ANA成田エアポートサービス」がプレゼンを行ない、回転する機器への巻き込まれや、正しくない脚立の使い方などを実際に疑似体験できるイベントを実施し、実際に、前年に比べて危険な事象を減少するという効果を発揮したという。展示会場にもそれらの機器が展示され、全国から集まった空港スタッフが体験できるようにした。

回転する装置に手に見立てた板を差し込むことで手指や服が巻き込まれた場合の危険性や巻き込まれた際に抗うことができない体感ができる機器。
こちらも回転する機器に接する際の危険性を体験するもので、自転車のチェーンのように回転しているVベルトに、手指が巻き込まれた時の衝撃と危険性を指の骨と似た強度の割り箸を用いて体感できる機器。
水平で使用する、留め具をしっかり固定する、といった正しい使い方をしない場合にどのような危険があるかを体験できるコーナー。
こちらは見た目と重量のギャップを体感するもの。先入観をなくして備えることで、スーツケースなどを持つときに思わぬ重さで腰を痛めるなどの事態を防ぐ。

 定時性の貢献賞からは八丈島空港所(八丈島空港ターミナルビル)がプレゼン。同空港では定時性向上のために、いかに早く保安検査場を通過し、搭乗ゲート前で待機してもらうかが課題となっていたなか、各所に設置したQRコードを読み取ること表示されるるデジタル御朱印を提供した。定刻出発率が向上しただけでなく、QRコードを設置する場所を工夫することで動線をコントロールし、特定箇所で混雑することも避けることができる。旅客に対して御朱印という楽しさを提供することで、単なるアナウンスとは違って催促されるような不快感がないのも、この取り組みの特徴となる。

 快適性の貢献賞では、広州支店空港所が受賞。同空港は国際線から国際線への乗り継ぎ、いわゆる際際乗り継ぎ時においても税関検査が必要であったことや、スルーチェックイン/スルーバゲッジができない(手荷物タグの再発行が必要だった)ことで旅客の快適性が損なわれていた。税関規定に違反しない形での解決策を模索。広州支店空港所では粘り強い交渉により、委託先係員が代理で税関検査を受けることを可能とし、さらに混雑を避けられるよう専用のX検査機器を設置。その後、スルーチェックインやスルーバゲッジが可能な手順も構築され、先述の課題を解消したという。

待合所での早期の誘導、動線の最適化に効果を発揮した八丈島空港のデジタル御朱印。

 このほか、展示会場では、VRを使ったグランドハンドリングのシミュレーター「∀TRAS(アトラス)」の体験コーナーも設置。PBBの接続、トーイングトラクターによるプッシュバックやコンテナの牽引、防除氷剤の散布などを訓練できるもの。実機訓練の前の教育や、天候不順や突発的な事態など実際の環境での訓練が難しいシチュエーションを体験できるものとして、順次配備が進められている。

トーイングトラクターによるプッシュバックのVR。
こちらはPBBの接続。PBBと機体の間のクリアランスなど、実際にのぞき込むように確認しながら接続する。
防除氷剤の散布もVR訓練が可能。除氷剤、防氷剤と順に翼に吹き付けていく。
ANAは今回で19回目となる空港サービスの品質を評価し、表彰する「ANAクオリティアワード」を開催。国内外90以上の空港の現場を担当するスタッフが集結した。

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