特集/本誌より
名機ダグラスDC-8が新千歳空港に飛来 〜4月3日、退役直前のDC-8-72CF(N782SP)来日〜
日本では1988年に最後の1機(JA8050)が登録抹消されたダグラスDC-8。1958年の初飛行以来、556機が製造された第1世代ジェットライナーの名機だ。いまもアクティブな貴重なDC-8を、4月3日、新千歳空港で記録した。

元々は1969年製造、フィンエアー向けのOH-LFT
4月3日、ミャンマー中部で発生した地震の支援に向かうため、サマリタンズ・パースのDC-8-72CF(N782SP)が給油およびクルーレストのため、新千歳空港に飛来した。
同機はカナダのカルガリーからアンカレッジを経由して3日の午後12時12分にRWY01Rへと着陸し、58番スポットに横付けされる形で1晩ステイした後、翌4日の午前9時に次の目的地であるバンコク・ドンムアン空港へと出発した。
最終目的地であるミャンマー・ヤンゴンには、同機が拠点を置くピードモント・トライアド国際空港(米ノースカロライナ州)からカルガリー、アンカレッジ、新千歳、バンコクを経由する必要があり、この航続距離の短さもクラシック機らしさを感じるところだ。
N782SPの履歴は、1969年にフィンエアー向けに製造された機体で、同社においてはOH-LFT(当初の登録記号はOH-LFR)の登録記号で1981年まで活躍。その後、エンジンを従来搭載していたP&W製JT3D-3BからCFM56-2C1へと換装し、フランス空軍機として運用されることとなった。この際に型式が従来のDC-8-62CFから、DC-8-72CFへと変更されている。フランス空軍では2004年まで運用され、その後、貨物型へと改修されてATIへと移籍した。
現在同機を運用するサマリタンズ・パースでは、2015年から活躍しており、今年で機齢56年を迎えた。

なんと2013年、最後に横田基地へと飛来したATI機と同じ機体
DC-8といえば昨年、NASAが運用していたN817NAが最後のミッションとして韓国を拠点とする観測飛行を行なったことが記憶に新しいが、日本にDC-8が飛来したのは、ATIによるAMCチャーター便(現在は757-200Cで運用)が横田基地に飛来していた2013年以来のこと。
ちなみに横田へと最後に飛来した機体は、今回のN782SPと全く同じ機体で、当時の登録記号はN721CXであった。
なおオペレーターであるサマリタンズ・パースは、キリスト教徒が運営する緊急援助支援団体として、今回のような災害発生時に支援するための人員や物資輸送用に航空機を所有している。
DC-8のほか757-200PCFも運用しているが、さらに今年2月には元ANAの767-300F(元JA603F)を導入し、現在運用投入に向けた準備を行なっているところだ。残念ながら、DC-8はこの767-300Fと置き換わる形で、今年第4四半期に退役することが決定している。
まさに退役直前の飛来という、貴重な機会になった。

