特集/本誌より

スターラックス航空の本拠地、台北で体感した「GALACTIC Lounge」ふたつの世界

その社名に「LUX」を冠する台湾の新星、スターラックス航空。この三文字が意味するところは、同社が掲げる「ラグジュアリー」というブランドの本質である。機内でのキャビンプロダクトやサービスクオリティは言うに及ばず、空港での顧客体験、たとえば本拠地である台北・桃園国際空港の自社ラウンジでも、そのコンセプトを体感することができる。

文:山田 亮(本誌編集部) 写真:芳岡 淳
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波打つような木目デザインが特徴の「T1 GALACTIC Lounge」エントランス。
日本路線が発着するターミナル1。スターラックス航空にとって絶対的なコンセプトである「ラグジュアリー」をストレートに体現した空間は、ふたつのコーポレートカラーにより演出される温かさ、安らぎが心地良い。

ふたつのターミナル、それぞれの自社ラウンジ

 ここはスターラックス航空の本拠地、台北・桃園国際空港。北は新千歳、函館から南は那覇まで、全9路線にもなる日本便が発着するターミナル1で帰国便JX862(仙台行き)のチェックインを終えて向かった先は、同社の世界観が色濃く投影された自慢の「GALACTIC Lounge」であった。

 同空港には2つのターミナルがあり、ここターミナル1(T1)のほか、ロングホールの北米路線も発着するターミナル2(T2)にも自社ラウンジを用意している。ただ、ふたつのラウンジはスターラックス航空の世界を投影しながらも、そのデザインや雰囲気は大きく異なるものと聞いていたから、ぜひともこの目で確かめたいと考えていた。

 なお、利用対象はともに各ターミナルを発着する同社便のファーストおよびビジネスクラス利用者、そしてマイレージプログラム「COSMILE」の上級ステータス会員(INSIGHTER/EXPLORER)だ。

就航から約4年にして、早くもラグジュアリーエアラインとしての評価を得たスターラックス航空。スタッフたちが紡ぎ出す上質なサービスは、機内でもラウンジでも変わることがない。なお、PEANUTSのキャラクターは10月末まで実施されていたコラボレーションで、現在は終了。

温かなラグジュアリーを語るターミナル1ラウンジ

 まず訪れたのは「T1 GALACTIC Lounge」。他社のラウンジも並ぶ一角にありながら、波打つようなエントランス部の木目デザインが主張していて、ひと目見てそれだとわかる。笑顔のラウンジスタッフに吸い込まれるように自動扉を抜けると、スターラックス航空のコーポレートカラーである濃淡ふたつのゴールドが醸し出す空間がひろがっていた(垂直尾翼にも描かれる、品格を表すローズゴールド、温かなホスピタリティを表すアースゴールド)。

 エレガントさとファッション性を追求したというデザインは、こうした暖色の色使いにより、スターラックス航空が掲げる温かなラグジュアリーの世界、つまり、華美を追うのではなく五感に語りかけながら乗客に寄り添う高級感を、ストレートに体現したものだ。

 オーダーして提供されるミールは4種類で、メニューリストは午前11時を境に「朝食」と「昼食/夕食」が切り替わる。取材時間帯はまだ前者のタイミングで、筆者は朝食の人気店「阜杭豆漿(フーハン ドゥジャン)」とコラボレートしたソイミルク・セットをオーダー。温かい豆乳を、大根や葱がアクセントの揚げたパイとともにいただく。すると優しい味わいにホッとしている筆者の周囲に、隣の座席から強い旨味を感じさせる濃厚な香りが漂ってきた。どうやら撮影担当の芳岡カメラマンは日本式の豚骨味噌ラーメンを選んだ模様で、見ればスープを彩るチャーシューや煮玉子も実に美味しそう。あっと言う間に平らげてしまったようだ。

 もちろん、ブッフェスタイルのサラダや点心、ドリンクが揃うエリアも充実している。しかし、「T2のGALACTIC Loungeまでは歩いて20分ほどかかりますから、(乗り遅れないよう)早めに移動したほうが安心ですよ」というラウンジスタッフのアドバイスを思い出し、後ろ髪を引かれつつ、T1 GALACTIC Loungeを後にしたのだった。

※同空港のターミナル1・2の間は、パスポートチェック後の制限エリア内は徒歩でも往来可能だ。

筆者が選んだ「阜杭豆漿(フーハン ドゥジャン)」とコラボレートしたソイミルク・セット。いかにも台湾の朝食といった雰囲気がうれしい。後述するターミナル2のラウンジでも提供されていた。
芳岡カメラマンが選んだ豚骨味噌ラーメンもおいしそうだ。ほかに“日本風”のメニューとしてはジャパニーズ・スタイル豆腐バーガーセットも(こちらは取材時のT2で提供されていた)。
こちらがブッフェエリア。サラダや点心、ドリンクも充実。

一転、T2ラウンジのコンセプトは「時空を旅する宇宙列車」

 そして訪れた「T2 GALACTIC Lounge」。冒頭に「T1のそれとはデザインや雰囲気が大きく異なる」と書いたが、T1 GALACTIC Loungeがスターラックス航空の「LUX(ラグジュアリー)」を語るものだとすれば、T2 GALACTIC Loungeは「STAR(北極星)」の要素を語るコンセプトと言えようか。それもそのはず、デザインのテーマは「時空を旅する宇宙列車」。その“車内”へと足を踏み入れた瞬間、暖色のT1とは異なる金属調のマテリアルを前面に押し出したスタイリッシュな空間が、まるで遊園地のアトラクションへと入っていくようなワクワクへと誘う。

 ただしもちろん、上質なサービスはしっかりと維持されていて、ここでも午前11時を境に切り替わる4種類のオーダーミールを用意するほか(T1とは異なるメニューも)、ターミナルビルそのもののサイズ感を反映して、空間的なゆとりという意味でT1を凌駕していると感じた。

同じスターラックス航空のラウンジとは思えぬほどにガラリと雰囲気が異なる「T2 GALACTIC Lounge」。
ラウンジスタッフの好印象は両ターミナル共通。取材に対応してくれたスタッフの中には日本語堪能な方もいた。
コンセプトは「時空を旅する宇宙列車」。まるでアトラクションのようなその車内へ!

2層構造で魅せる、宇宙的ラグジュアリーの雰囲気

 ラウンジ内は2層構造になっていて(階下がある)、ターミナル屋外まで見渡せる窓により開放感あふれるレストランのような明るいメインフロアと、毛足の長い青の絨毯にコーポレートカラーのソファが鮮やかなコントラストを放つ“宇宙的ラグジュアリー”の階下フロアで、まったく異なる雰囲気が楽しい。

 階下フロアにはシャワールームも完備しており、このあたりの意匠も、宇宙を旅する列車のなかの居住区画のようなSFチックな遊び心を感じさせるものだ。そういえば、台北へのスターラックス機内で観たオリジナルの安全ビデオ「STARWONDERERS」は宇宙就航後の同社機を舞台にしていた(オンラインでも視聴できるので末尾にリンクを貼っておこう)。宇宙を旅するスターラックス航空の機内はこんな雰囲気なのだろうか、そんなことを妄想させてくれるラウンジであった。

階下に進むと、青い絨毯と暖色のシートのコントラストが印象的な空間が待っていた。T1とは異なるラグジュアリーの表現。
階下の廊下は本物の宇宙をゆく乗り物のよう。明確な世界観とともにデザインされていることがわかる。
「T2 GALACTIC Lounge」にはシャワールームも用意。長距離の北米行きも発着するターミナル2だけに嬉しい。
オーダーしていただく4種のメニューのほか、もちろんブッフェエリアも充実。メインフロアと階下の双方に用意されていた。

 スターラックス航空の日本路線はすべてT1の発着だから、ラウンジ利用ももちろん「T1 GALACTIC Lounge」ということになる。
 ただ、台北を拠点に東南アジア(行き先により使用ターミナルは異なる)、さらには北米(全便T2利用)にも長距離ネットワークを展開するスターラックス航空のこと。とくに、同社自慢の充実したラグジュアリーなフライト体験をじっくりと堪能するなら、台北経由でロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルに飛ぶ旅は魅力的だ(日本各地からの同日乗り継ぎも可能)。その際には「T2 GALACTIC Lounge」の宇宙列車の旅も、あわせて堪能できるのである。

ターミナルの雰囲気からして、ターミナル1と2では随分と異なる台北・桃園国際空港。「T2 GALACTIC Lounge」のエントランスもT1の木の温もりから一点、クールかつスタイリッシュな世界。
その社名に「LUX」を冠する台湾の新星、スターラックス航空。この三文字が意味するところは、同社が掲げる「ラグジュアリー」というブランドの本質である。機内でのキャビンプロダクトやサービスクオリティは言うに及ばず、空港での顧客体験、たとえば本拠地である台北・桃園国際空港の自社ラウンジでも、そのコンセプトを体感することができる。