オーバーツーリズムからエコツーリズムへ~旅のヒントBOOKより
こんにちは! 旅のヒントBOOK編集部です。
旅のヒントBOOKは主に現地在住者やその地のリピーターを著者に迎え、大切な友人を案内したいスポットを厳選してご紹介するガイドブックシリーズです。
現在、50を超える国と地域がラインナップしています。
さらに、このシリーズから派生した海外関連のさまざまな書籍を製作しています。
今回は、イタリア在住で旅のヒントBOOKシリーズで著作がある祝 美也子さんによる現地レポートをお届けします。

知る人ぞ知るおすすめスポットをご紹介
ナポリを州都とするカンパニア州には、ユネスコの世界遺産が有形・無形文化財を含め10の登録がある。ナポリは昔からの港町で、大型のクルーズ船が毎日平均3~4艘やってくる。クルーズ客に人気の観光先は、カプリ島やポンペイ、アマルフィ海岸。最近は季節に関係なくとにかくすごい数の観光客が押し寄せ、どこも過密状態になっている。
今回は、まだまだメジャーではないけれど、混雑を避け、自然と歴史とグルメが堪能できる旅を楽しみたい方にアマルフィ海岸の小さな町と、チンレト国立公園をご紹介。
アマルフィ海岸沿いのチェターラとヴィエトリ・スル・マーレ
グルメな人にぜひ立ち寄ってほしいのがチェターラという小さな町。漁村から観光地へシフトしていったアマルフィ海岸の中でも唯一、近海で漁を続ける村で、アリーチと呼ばれるイワシ漁がさかん。この小さな町にイワシの加工品や、魚醤ソースを扱う店が点在し、どのレストランでも魚醤ソースのパスタが味わえる。デリケートな魚介風味が、魚好きな日本人にとっては嬉しい味。
ヴィエトリ・スル・マーレは陶器の町で、町全体にたくさんの窯元や工房がある。崖が切り立つ厳しい地形のアマルフィ海岸では、ロバは労働のシンボル。土地の人に愛されている動物で、ロバの柄や、伝統の鶏柄、レモンやオリーブなど手作りの作品は見ていて飽きない。

パエストゥムの遺跡とチンレト国立公園
前述のヴィエトリ・スル・マーレから車で1時間ほど走ると、パエストゥムの遺跡に到着する。ここは、古代ローマよりもっと古い、紀元前560年ごろにギリシャ植民都市“ポセイドニア”として始まった。保存状態の素晴らしい3つの神殿と、博物館がある。本当に価値があるのだが、夏はすぐそばの遠浅の海岸線にたくさんの観光客が押し寄せるものの、遺跡に足を運ぶ人は少ない。
このパエストゥムは、チレント国立公園内にある。国立公園はイタリアに生息する動植物全種の25%を保有しているのでまさに生態系の宝庫。海あり、山ありと自然派の人も満足できる。加えて遺跡のそばにはイタリアを代表する食材、モッツァレラチーズの工場が林立し、出来立てのモッツアレラを楽しむことができる。
過密する観光地をさけ、その土地の暮らしぶりや伝統工芸、伝統食品、さらに自然に触れられるこれらのスポットを訪れたい場合は、車をチャーターすればナポリから日帰りで楽しめる。



祝 美也子 / Miyako Iwai
東京都生まれ。短大卒業後、ファッションメーカー、出版社、電話会社を経て1995年にフィレンツェへ渡り1997年よりナポリ在住。南イタリアの情報サイトPiazza Italia主宰。イタリア政府公認観光通訳士。
Webサイト:Piazza Italia

旅のヒントBOOK『最新版 ナポリとアマルフィ海岸周辺へ――魅惑の絶景と美食旅』祝 美也子 著
ナポリに約30年暮らし、南イタリアの観光ガイドやメディアのコーディネーター業に長年携わってきた著者が、ナポリ、遺跡&王宮、ナポリ湾の島々、アマルフィ海岸エリアをご案内。さらに、ナポリの郷土料理やカンパニア州の食材についてなどの解説ページも充実。限られた滞在期間でカンパニア州を満喫したい方に。
A5判/176ページ/定価1,980円(税込)
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