航空旅行

日本のLCCはどんな会社なのか? それぞれの生い立ち

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【スプリング・ジャパン】JALグループで中国路線に強み

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JALグループの一員であるスプリング・ジャパンは、国内線は新千歳と広島の2路線のみですが、中国路線が充実しているのが特徴です。
Photo:Charlie FURUSHO

 中国初の純民間資本のエアラインとして、2004年に設立されたのが春秋航空です。同社はエアバスA320を使用機材とし、上海などを拠点に国内線と短距離国際線を展開して急成長を遂げ、日本へも関西や首都圏のほか、地方空港にも積極的に進出してきました。その春秋航空が主導し、日本の企業である山佐やJTBなどが出資者に加わって2012年に設立されたのが春秋航空日本、現在のスプリング・ジャパンです。
 2021年6月、JALが出資比率を上げたことにより、JALグループの一員となりました。同年11月1日には正式社名をスプリング・ジャパンに変更しています。小型機を運航するJAL系のLCCは、ジェットスター・ジャパンに次いで2社目ということになりますが、主に中国路線を担当し、成田からハルビン、大連、天津、北京(首都)、上海(浦東)、南京、寧波線を運航しています。国内線は新千歳線と広島線の2路線です。
 運航機材は、春秋航空がエアバスA320で統一しているのとは対照的に、スプリング・ジャパンでは全機がボーイング737-800になりました。これは、日本でパイロットや整備士などを確保する上では、ボーイング機の資格を有する人材が豊富であることを考慮した結果の機材選定でした。キャビンは普通席のみのモノクラスで、737-800の最大座席数である189席が設定されています。

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モノクラス189席仕様のキャビンは、LED客室照明装置や大容量ストウェージを備えたボーイング・スカイ・インテリアを導入しています。
Photo:Charlie FURUSHO

【ZIPAIR】日本初の中・長距離LCC

 ZIPAIRは2018年にJALが設立した中・長距離LCCで、使用機材はボーイング787-8です。中・長距離をメインにするLCCは日本初であり、ワイドボディ機を導入した和製LCCもZIPAIRが最初です。2020年5月からの就航を目指していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により計画は延期となりました。結果的には同年6月3日から成田~バンコク(スワンナプーム)線で、貨物専用便として運航を開始するという異例のデビューとなりました。2025年4月現在は、成田を拠点に、ホノルル、サンノゼ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストン、バンクーバー、シンガポール、ソウル、バンコク、マニラに就航しています。
 前述の通り、使用機材はワイドボディ機の787-8ですが、これまで紹介してきたLCCがいずれもモノクラスであったのに対しZIPAIRには上級クラスがあるのが特徴です。LCCは必要なサービスを別途購入するのが基本スタイルなので、厳密には「上級クラス」 という位置付けではなく、オプションの中の一つとしてある「上級シート」ということになりますが、この上級シートは「ZIP Full-Flat」といい、その名の通り、フルフラットになるシートです。シートはヘリンボーン配置で、シートのスペックとしてはフルサービスキャリアのビジネスクラスと変わりません。また、エコノミークラスにあたる「Standard」を含め、無料で乗客全員が使える機内Wi-Fiも好評です。

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ZIPAIRの機材はボーイング787-8です。同社はJALの100%子会社ですが、機体塗装にJALをイメージさせる要素はなく、明確に差別化されています。
Photo:Charlie FURUSHO
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「ZIP Full-Flat」は、中央列が内側に向き合うようなヘリンボーンスタイルでレイアウトされています。大手エアラインの長距離路線用ビジネスクラスと比べても遜色ないレベルのシートです。
Photo:Masahiro Ohashi
まもなくゴールデンウィーク、そして夏休みと、旅行シーズンがやってきます! 今年は航空各社の予約も好調のようで、JALやANAといった大手だけでなく、LCCを利用される方も増えています。 さて、そんなLCCですが、それぞれの“生い立ち”をご存じでしょうか? 今回は日本発のLCCであるPeach、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン、そしてZIPAIRについてご紹介します。 それぞれの背景を知ってから搭乗すると、よりフライトを楽しめるかもしれませんよ!