日本のLCCはどんな会社なのか? それぞれの生い立ち
まもなくゴールデンウィーク、そして夏休みと、旅行シーズンがやってきます!
今年は航空各社の予約も好調のようで、JALやANAといった大手だけでなく、LCCを利用される方も増えています。
さて、そんなLCCですが、それぞれの“生い立ち”をご存じでしょうか?
今回は日本発のLCCであるPeach、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン、そしてZIPAIRについてご紹介します。
それぞれの背景を知ってから搭乗すると、よりフライトを楽しめるかもしれませんよ!

【Peach】日本初の本格的LCC
ANAが主導して設立した、日本初の本格的LCCがPeachです。2019年には、同じANA系列のLCCだったバニラエアと経営統合しました。
航空自由化政策を受けて、1990年代後半からスカイマークやAIRDOといった新興エアラインが登場し、大手よりも割安な運賃をセールスポイントにしてきましたが、これらはフルサービスキャリアに近いビジネスモデルでした。一方でPeachは、付加サービスの有料化、単一機種による多頻度運航、オンライン予約の徹底など、まさにLCCの王道を行くビジネスモデルを採用しています。
本拠地は関西国際空港の第2ターミナル。ここから日本各地および国際線を運航していますが、成田、仙台、新千歳、那覇といった空港を次々と拠点化し、ネットワークを着実に拡大しています。2025年4月10日には、関西・中部の両空港からソウル(金浦)線を同時に開設しました。
運航機材は当初からエアバスA320ファミリーに統一されており、2020年からは最新鋭のA320neoも導入が進んでいます。また、長距離タイプの胴体延長型であるA321LRも導入され、これまで航続距離の制約で困難だった中・長距離路線への展開にも期待が高まっています。現在、Peachの就航地としてはもっとも遠いのがシンガポールですが、A321LRはハワイまでの直行運航も可能なため、今後の新路線開設にも注目が集まります。
また、機内サービスでは、大阪や各就航地の「ご当地メニュー」を取り入れた機内食(現在は国際線で提供)など、有料ながらもクオリティの高いサービスを提供している点も特徴です。

Photo:Charlie FURUSHO

Photo:Takayuki Murata
【ジェットスター・ジャパン】世界的LCCブランドの日本版
2011年、JALとカンタス航空が中心となって設立したのが、ジェットスター・ジャパンです。日本で2番目に運航を開始したLCCで、Peachが関西空港を本拠地としたのに対し、ジェットスター・ジャパンは成田空港を拠点とし、首都圏をベースとする初のLCCとなりました。
欧米では、LCCに対抗するため既存の大手航空会社が相次いでLCCを設立しましたが、多くはメガキャリア的な体制から脱却できず、成功には至りませんでした。そうした中で成功を収めた数少ない例が、カンタス航空が設立したジェットスター航空です。主にエアバスA320を使い、オーストラリア国内やオセアニア・東南アジア方面への短距離国際線を展開、さらにエアバスA330で中・長距離線にも進出しました。2007年にはケアンズ~中部・関西線で日本就航を果たし、これが日本におけるLCC時代の幕開けとなりました。
その後、2003年にシンガポール拠点のジェットスター・アジア航空、2008年にはベトナム拠点のジェットスター・パシフィック航空が設立され、ブランドを多国展開。なお、ジェットスター・パシフィックは旧パシフィック航空を買収して社名変更したものでしたが、2020年にジェットスターグループを離脱し、現在はパシフィック航空としてベトナム航空の子会社となっています。そして2011年、日本で設立されたのがジェットスター・ジャパンです。翌年の運航開始により、ジェットスターグループにおける4つ目のLCCとなりました。
使用機材はエアバスA320シリーズで、2022年7月からは胴体延長型の最新鋭機A321LRも導入。シートには、2019年のレッド・ドット・デザイン賞で「最優秀エコノミークラスシート」を受賞したRecaro社のBL3710を採用しており、各席にはUSBポートも備えています。

Photo:Akira Fukazawa

Photo:Charlie FURUSHO
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