航空旅行

新シート発表のいま、現行モデルの実力を振り返る「ANAプレミアムエコノミー」

4月9日、ANAはドイツ・ハンブルクで開催中の「AIX 2025(Aircraft Interiors Expo 2025)」にて、2026年度から導入予定のボーイング787-9長距離国際線仕様機に装備される、プレミアムエコノミーおよびエコノミークラスの新シートを発表しました。最新シートの速報記事はこちらをご覧いただくとして、『航空旅行』では、現行のANAプレミアムエコノミーのシートとサービスについて、改めてその魅力を振り返ってみたいと思います。

文:『航空旅行』編集部 写真:深澤 明(特記以外)
X Facebook LINE
A380PYcabin
ホノルル線専用エアバスA380は2階席に2-3-2の横7席の配列で、73席のプレミアムエコノミーを設定しています。シートのファブリックは落ち着いたグレーを基調にしつつ、1席ごとに柄を替えてそれぞれ表情を持たせています。

プレエコのシートは2タイプ、機材ごとの違いを解説

 ANAのプレミアムエコノミーシートには、大きく分けて2つのモデルがあります。
 一つは、ファーストクラス「THE Suite」、ビジネスクラス「THE Room」が搭載された新仕様のボーイング777-300ER、ボーイング787-10、そしてホノルル線専用のエアバスA380に装備されているモデル。もう一つは、ボーイング787-8/-9および、改修前の777-300ERに搭載されているモデルです。どちらもプレミアムエコノミーではあるものの、快適性という点では前者の新型シートが一歩リードしています。
 新型シートを具体的に見てみると、座席数と配列は以下の通り。
・777-300ER:2-4-2配列で全24席
・787-10:2-3-2配列で全21席
・A380:2-3-2配列で全73席(2階席)
 いずれもビジネスクラスのすぐ後方に位置し、独立したプレミアムエコノミー専用キャビンに設置されています。シートピッチは約97cm、座席幅は約47cm。大型のレッグレストや調整可能なフットレスト、6方向に動くヘッドレストも標準装備されているので、長時間のフライトであればあるほど、エコノミークラスとの違いを実感できるはずです。
 テーブルは安定感のある一枚板仕様で、食事はもちろん、ノートPCを広げての作業にも十分な広さ。さらに、中央や窓側の座席からも通路に出やすいよう、テーブルが90度回転する工夫も施されています。加えて、シート周りにはカクテルテーブル、ユニバーサル電源コンセント、USBポート、ジャケットフック、ペットボトルホルダー、小物入れ、フリーアーム式読書灯など、細かな使いやすさも充実。エンターテインメント面では、クラス最大級となる15.6インチのタッチパネル式個人用モニター(A380の最前列は11.6インチ)を搭載。777-300ERと787-10では、ANAアプリで事前に予約した番組をすぐに再生できたり、スマートフォンをリモコンとして使えるなど、最新機能も楽しめます。
 一方、787-8/-9および未改修の777-300ERのシートは、個人用モニターが10.6〜11インチとやや小さめで、収納スペースも控えめ。しかし、シートピッチは同じく約97cm、幅も約49cmと十分なゆとりがあり、レッグレスト・フットレストも備わっているため、エコノミークラスとの差は歴然です。快適性という点では十分に“選ぶ価値のある”シートと言えます。

legrest
シートには幅広のレッグレストや調整可能なフットレストがついています。シートピッチもエコノミークラスより10㎝以上広い約97㎝です。
headrest
ヘッドレストは6方向に動かすことができ、頭をしっかりとホールドします。ホノルル行きは夜行になりますが、これならゆっくり休めそうです。
monitor
タッチパネル式個人用モニターはクラス最大級の15.6インチ(A380の最前列は11.6インチ)です。大きな画面は迫力が違います。
oldseat
787-8/-9と未改修の777-300ERに装備されているプレミアムエコノミーのシートです。個人用モニターが新型に比べると少し小さめだったり、機能面では若干劣りますが、シートピッチは約97㎝、幅は約49㎝とゆったりしています。レッグレストやフットレストなどももちろん装備しています。
Photo:ANA

機内サービスとラウンジ利用でワンランク上の旅へ

 シートの快適性だけでなく、サービス面でもプレミアムエコノミーはエコノミークラスより優遇されています。
 まず機内食は、ホノルル線を除き、基本的にエコノミークラスと同じメニューが提供されますが、プレエコでは1回目の食事提供後に、自分のタイミングで軽食を注文できるのが特典。メニューには、T’sレストラン監修のヴィーガン担担麺やプティフールなど、ちょっと嬉しいラインナップが揃っています。ホノルル線では1回目の機内食でプレエコ専用メニューが用意され、メインディッシュは陶器の器で提供されるなど、ワンランク上のサービスを体感できます。
 また、ドリンク面でも差があり、プレミアムエコノミーではビジネスクラスで提供されるアルコールセレクションが楽しめます。シャンパン、赤白ワイン、日本酒、梅酒、焼酎、さらには紅茶やハーブティーまで、バラエティ豊かです。
 さらに大きな魅力がラウンジの利用です。羽田、成田、ホノルルの自社ラウンジのある空港では「ANA LOUNGE」を、その他の空港では提携ラウンジを無料で利用できます。最近ではエコノミークラスでもラウンジを有料で利用できるようになってきましたが、その価格は決して安くありません。無料でラウンジを使えるプレエコは、コストパフォーマンスの面でも高く評価できます。
 少し円高にも振れてきました。今年のGWや夏休みは、これまでよりは海外旅行にも行きやすくなりそうなので、その際はぜひプレエコの利用も検討してみてください。

honolulu_PYmeal
プレミアムエコノミーの出発して最初に出る機内食はエコノミークラスとメニューは同じですが、ホノルル線だけは違います。メインディッシュが陶器の器に入れられ、ちょっとリッチな内容です。またプレミアムエコノミーでは、軽食やビジネスクラスで提供されているアルコール類も楽しむことができます。
Photo:ANA
lounge
ANAでは、プレミアムエコノミーにラウンジサービスを提供しています。羽田、成田、ホノルルでは、ビジネスクラスと同じ「ANA LOUNGE」を利用可です(写真はホノルル空港の「ANA LOUNGE」)。またそのほかの海外空港でも、提携するラウンジを利用できます。
Photo:ANA
4月9日、ANAはドイツ・ハンブルクで開催中の「AIX 2025(Aircraft Interiors Expo 2025)」にて、2026年度から導入予定のボーイング787-9長距離国際線仕様機に装備される、プレミアムエコノミーおよびエコノミークラスの新シートを発表しました。最新シートの速報記事はこちらをご覧いただくとして、『航空旅行』では、現行のANAプレミアムエコノミーのシートとサービスについて、改めてその魅力を振り返ってみたいと思います。

関連キーワードもチェック!