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驚愕のファーストクラス “ゲームチェンジャー”

通路との間にトビラを設けて個室になるシートは上級クラスのトレンドだが、
それでも高さ130cmくらいのパーティションに覆われているだけで天井は開いているのが標準的だ。
しかし通路からシートが全く見えない「完全な個室」を、
エミレーツ航空は新しいボーイング777-300ERのファーストクラスで実現してしまった。
“ゲームチェンジャー”と呼ばれるこのシートは、まさに新たな地平を切り開いた革新的なものだ。

※この記事は 『航空旅行vol.40』(2022年4月発売)から抜粋したものです。

文:本城善也 Text by Yoshiya Honjo 写真:大橋マサヒロ Photo by Masahiro Ohashi
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gamechanger rear

 一部のボーイング777‐300ERに装備されているファーストクラス・スイートの「ゲームチェンジャー」は、ドイツの高級車メーカーであるメルセデスベンツとのコラボレーションにより誕生した。メルセデスベンツの最上位モデルであるSクラスにインスパイアされたデザインは、その豪華さや快適さでファーストクラスと呼ぶにふさわしいクオリティであることはもちろん、完全個室というスタイルは、機内におけるプライバシーの概念を次のレベルに引き上げたといっていいだろう。

 シート配列は、従来型の777‐300ERが1‐2‐1の横4席×2列で計8席のレイアウトであるのに対し、ゲームチェンジャーは1席あたりの専有面積がさらに広くなったことから1‐1‐1の横3席×2列の計6席となった。やわらかい革の感触が気持ちいい大型のシートは、当然のことながらフルフラットベッドに変形させることができ、究極のリラクゼーション効果が得られるというNASAが開発した「ゼロ・グラビティ(無重力)」ポジションなどもプリセットされている。またシートは大型だが、それ以上に空間が広いので、ベッドポジションの状態でも室内での着替えなども余裕でできるスペースがある。さらに個室内の照明の色や明るさだけでなく、室温まで自分好みに調整できるのもこれまでにはない史上初の機能だ。
 本来は窓がない中央列の座席であっても、外の景色を楽しめるようにバーチャル窓が装備されているのも特筆すべきことだろう。ここには機体の左右に取り付けられたカメラによってリアルタイムの景色が映し出される。

 エミレーツ航空のファーストクラス利用者は、ドバイを始め、世界の主要都市において無料の送迎サービスを利用できるが、ドバイではSクラスがファーストクラス用として用意されている。ということはドバイのホテルに着くときも出発するときも、旅の最初から最後までメルセデスベンツの世界観を感じながら移動できるということだ。ゲームチェンジャーは数あるファーストクラスの中でも、トップ・オブ・ザ・トップという言葉がふさわしい。

通路との間にトビラを設けて個室になるシートは上級クラスのトレンドだが、 それでも高さ130cmくらいのパーティションに覆われているだけで天井は開いているのが標準的だ。 しかし通路からシートが全く見えない「完全な個室」を、 エミレーツ航空は新しいボーイング777-300ERのファーストクラスで実現してしまった。 “ゲームチェンジャー”と呼ばれるこのシートは、まさに新たな地平を切り開いた革新的なものだ。 ※この記事は 『航空旅行vol.40』(2022年4月発売)から抜粋したものです。

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