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ラスベガス・サンズのボーイング747SP(VP-BLK)が退役。9年前、成田飛来の思い出
2024年5月1日(現地時間)、ラスベガス・サンズが運航する最後の747SP、登録記号VP-BLKが退役のためフェリーされました。これで747SPの現役機は残り2機に。そのVP-BLKが9年前、成田へ飛来した時の思い出を振り返ります。
現役3機のうちの1機、残るはプラット&ホイットニー社の試験機のみ
東京=ニューヨーク間を直行で結びたいというパン・アメリカン航空の要望に応え、ボーイング747の航続距離延長型として開発された747SP(Special Preformance)。2024年現在も3機が現役でしたが、そのうちの1機であるラスベガス・サンズの登録記号VP-BLKが、5月1日に退役のためフェリーされました。
同機は1980年、トランス・ワールド航空(TWA)に通常の旅客機として引き渡された後、1985年にドバイ・エアウイングに移籍した際にVIP仕様に。2007年からカジノ運営会社であるラスベガス・サンズで、主に顧客の輸送などに使用されていました。そして今回、本拠地のネバダ州ラスベガス国際空港から、ミズーリ州カンザスシティ国際空港へフェリー。機齢を考えると、他社に買い取られて再び空を舞うことは考えにくいでしょう。
VP-BLKの退役により、残る現役の747SPはプラット&ホイットニー社がエンジン試験機として使用するC-FPAWとC-GTFFのみに。月刊エアライン6月号の連載「ボーイング747の最前線」でもお伝えした通り、韓国の仁川国際空港に最近2機とも飛来したのが記憶に新しいですよね。
2015年4月30日、成田に飛来した日の思い出
またVP-BLKは過去に日本にも飛来した実績があり、筆者も2015年の成田飛来時にその離陸を撮影していました。南風でRWY16運用だったこの日、定番の「ゲジポイント」ではなく「さくらの丘」へ。当時は青空をバックにランディングギアが全て格納された状態で真横を撮る、いわゆる「ギア閉めショット」に挑戦し始めたばかり。今であればもう少し滑走路から離れて、煽り気味のカットにならないようにすべきだったと反省していますが、当時は「とりあえず滑走路端の方向にある公園」という理由で選んだポイントです。結果として、ギアは真横を僅かに過ぎてから格納が完了し、さらには背景に雲も出現してしまいましたが、今となっては貴重な1枚。その後、2018年には高松空港にも飛来したVP-BLK。それが最後の日本飛来となってしまいました。
余談ですが、さくらの丘を撮影ポイントに選んで良かった理由がもうひとつ。実はこの日初めて出会った方が、この撮影の7年後、筆者を月刊エアライン編集部に導いてくれました。その縁がなければ…と考えると、自分にとっては本当に特別な1枚なのです。
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