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成田就航のエア・カンボジア、東京支店長が語った日本戦略
10月26日、新たに東京線を開設するエア・カンボジア。まずは週3便、首都プノンペンと成田間を福州(中国福建省)経由で結ぶ新路線の誕生だ。その戦略を、東京支店長に着任したケビン・リー氏が語った。

Photo:AIRLINE
今年1月に社名を変えた、カンボジア王国のフラッグキャリア
エア・カンボジアとは聞きなれない航空会社かもしれないが、東南アジアの航空事情に詳しい方には旧称の「カンボジア・アンコール航空」という社名とピンとくるかもしれない。今年1月に現在の名称へと変わり、リブランドを果たした。旧社名の時代からカンボジア王国政府とベトナム航空の出資により運航されていたが、2023年からは中国国営の河南航空投資グループが出資者に加わり、3か国による合弁航空会社となった(ベトナム航空もまた政府傘下の国営航空会社だ)。こうした背景から、エア・カンボジアの会長は同国の民間航空大臣を兼務するなど、いわゆるフラッグキャリアという立ち位置にある。
そんなエア・カンボジアが10月26日から週3便(水・金・日)で、成田=福州=プノンペン線を開設することになった。機材は170席(うちビジネスクラス8席)仕様のエアバスA320で、途中、中国・福建省の省都である福州を経由するのは運航機材の航続性能による理由が大きい。ただし、成田=福州間/福州=プノンペン間のみの利用も可能で、両区間の需要も取り込む戦略だ。なお、到着地プノンペンでは今年9月9日に開港して間もないテチョ国際空港を使用する。

Photo:AIR CAMBODIA
日本とカンボジア間に存在する、確かな需要をつかむ
さて、日本とカンボジアを結ぶ直行便というと、2016年に新規開設されるもコロナ禍を経て運休に至ったANAの成田=カンボジア線を想起する方は多いだろう。新規就航に先立つ10月15日に都内で説明会に臨んだケビン・リー日本支店長によると、「このANAによる直行便が運休した後も、両国間においてはベトナムやタイを経由して往来する需要が確実に存在していました。投資・貿易・経済協力・文化交流・観光業など、さまざまな観点において、カンボジアにとって日本は重要な国。ビジネス面での一例を挙げれば、プノンペンにある最大の商業施設はイオンモールで、現在3店舗を展開しています。自動車産業など日系企業も多いです」と説明し、エア・カンボジアの新路線を支える需要のひとつが、日本からのビジネス渡航者であることが窺える。もちろん、コロナ禍以前の2019年には21万人を記録していた、歴史的遺産などを訪ねる日本からの旅行需要にも期待していると述べた。
このほか現在、日本国内には約3万人のカンボジア人が暮らしており、その数は毎年20%のペースで増加しているという。こうした在日カンボジア人の親族訪問需要にも期待でき、ビジネス・観光・親族訪問でそれぞれ1/3ずつの需要構成になるというのが同社の見立てだ。「緻密な市場調査により、十分な準備作業を進めてきました。安定的な運営に自信を持っており、就航から1年後の時点で85%以上の搭乗率を見込んでいます。プノンペンまで3万円、福州まで2万5,000円(いずれも片道、サーチャージ込み)という価格優位性もご提供できます」と、リー日本支店長は自信をみせる。
成田路線就航の先には、2026年3月に次なる就航地として関西へと乗り入れたい考えを示した。「成田路線では日本語が話せる客室乗務員が搭乗して日本のお客さまをお迎えしますが、関西就航のタイミングでは、日本語を母語とする客室乗務員も乗務させたいと考えています。仏教の伝統を重んじるカンボジアですから、穏やかで優しいサービスを空の上でご提供していきます」という。
英スカイトラックス社の格付け評価で3つ星を獲得している同社のサービス品質は気になるところで、月刊エアラインの誌面でもぜひ、レポートをお届けできればと考えている。
運航スケジュール/水・金・日運航
K6 593便:成田(20時00分発)→福州(23時30分着/0時30分発+1)→プノンペン(2時55分着+1)
K6 592便:プノンペン(9時40分発)→福州(14時00分着/14時50分発)→成田(19時00分着)
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