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ANA、新制服を担うデザイナーを発表。2027年12月お披露目へ

ANAが創立75周年にあたる2027年度に予定している制服のリニューアル。そのデザインを担うデザイナーが発表され、それぞれ意気込みを語った。

文:本誌編集部 写真:本誌編集部
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 ANAは7月3日、新制服のデザイナー発表記者会見を開催した。

 ANAグループでは創立75周年となる2027年度に制服を一斉リニューアルすることを発表している。会見では2027年の「12月」に新制服を披露することが明らかにされた。

 今回の制服は、運航乗務員(パイロット)、客室乗務員、地上旅客スタッフ、整備士、グランドハンドリングスタッフ、貨物スタッフ、機内搭載スタッフの制服が一斉にリニューアルされる大規模な変更となる。

 客室乗務員と地上旅客スタッフは12年ぶり(2015年以来)、機内搭載スタッフは22年ぶり(2005年以来)、グランドハンドリングスタッフは23年ぶり(2004年以来)、運航乗務員は37年ぶり(1990年以来)、整備士は39年ぶり(1988年以来)の変更となる。

 会見の冒頭でANA代表取締役社長の井上慎一氏は、パンデミックを乗り越えて2024年度に過去最高収入を達成したことに触れたうえで、「元気なANAが戻ってきた。このタイミングで制服を一新し、さらなる高みを目指して新たな歴史を作っていく」と宣言。

 新制服にかける思いとして、「過去から守り続けてきた空の安全と安心を私達一人ひとりが徹底して未来へつないでいくこと」、「いつもお客さまに寄り添い、新しい価値体験を提供し、心からの笑顔を生み出し続けること」、「その積み重ねが世界中でたくさんの喜びへとつながり、多くの人達の人生を豊かにしていくこと」の3点を掲げた。

 そうして発表されたデザイナーは3名(社)。運航乗務員の制服はNAOKI TAKIZAWA DESIGNの滝沢直己氏、旅客係員や客室乗務員といった接遇部門の制服はSETOHUの桑田悟史氏、整備士やグランドハンドリングスタッフ、機内搭載スタッフ、貨物スタッフといった機能系部門の制服はadidas(アディダス)が担うことになった。

 井上氏は3名のデザイナーを前に、「このベストメンバーであれば、世界をこれからリードしていくぞと考えているANAグループにふさわしい、世界が注目するデザインと機能を兼ね備えた制服が誕生する。そして、その新制服を着用する社員が誇りを持ってさらなる高みを目指していく、この力を与えていただけるものと確信している」と、“チームANA”として一斉に生まれ変わることになる新制服への期待を述べた。

NAOKI TAKIZAWA DESIGNの滝沢直己氏。

 滝沢直己氏は、ISSEY MIYAKEのクリエイティブデザイナーを経て独立後、皇室の衣装や多くの企業の制服を手がけた実績を持ち、現在は無印良品の衣服・雑貨部企画デザイン室長を務めるデザイナーだ。

 「飛行機で旅をすることが多く、飛行機の中が好き。リラックスして、なにもしないで済む本当に大切な時間。飛行機の中にはいろいろなプロダクトが入っており、ネジ1本からシートすべてがプロダクトデザインとして完成され、作られている。そのうえで大きな機体が飛んでいる。そのなかで制服もファッションとは違う、そういった目線で作られていかなければいけない。制服のデザインは、それを着用する皆さんがストレスなく、ゆとりをもって仕事ができる。そして、それを見る我々が安心して、任せて、飛行機に乗っていられる時間を作ってもらえる。そのようなものを目指して作れればいいと思っている」とコメント。また、「飛行機に関わるユニフォームはやりたいことだった。ANAにはよく乗るので、この仕事をいただいたときは運命的なものを感じた」と喜びを語った。

SETOHUの桑田悟史氏。

 接遇部門を手がけることになった桑田悟史氏は、英サヴィル・ロウの老舗テーラー「ハンツマン」で修行し、2023年には若手デザイナーの登竜門といわれるLVMHプライズのグランプリを満場一致で受賞したデザイナー。

 「普段はミラノに住んでいて、今回はパリから帰ってきたが、飛行機の中から本当にワクワクして、こんな大きなチャンスをいただいて本当に感謝。今は常にユニフォームを見てすごく想像を膨らませている状況。ユニフォームはすごく大事な、会社の顔にもなるものなので責任感を持って頑張っていきたい」と意気込みを述べた。もちろん具体的なデザインは今後のこととなるが、「接客業の前に命を守る立場というのがすごく大事。そして、特に旅行をされている方はストレスを感じている方も多いのでそれを和らげるもの、そしてユニフォームとして快適に着ていただける、という点を初めに考えて、デザインを構築していく」との考えを明かした。

アディダス ジャパン代表取締役 萩尾孝平氏。

 機能性部門を手がけるadidasは、アディダス ジャパン代表取締役の萩尾孝平氏が会見に臨席。75年以上にわたって多くのアスリートのために製品を開発してきた同社。萩尾氏は「世界中のアスリートのために、そのパフォーマンスを最大限発揮できるようなテクノロジーを、情熱をもって開発してきた。ANAの皆さまも毎日の安全な運航のために、どんなに過酷な環境にあっても常に最高のパフォーマンスが求められ、そのために日々努力をされていると思うが、その姿は私たちが常にともに歩んできたアスリートと共通するものが多いと感じている。我々がスポーツで培ってきたテクノロジー、デザイン、情熱を持って今回のプロジェクトに取り組み、ANAの皆さまがパフォーマンスを発揮する助けになればと思っている」と意気込みを述べた。

 デザインにあたっては「選手に向けた製品を開発するときは、まずはニーズを徹底的に調査し、それを理解してスタートする。今回もその姿勢を大切にしたい。まずは(現場の)皆さんのご意見、今抱えている問題、日々求められる機能性などを、まずはしっかり学びたいと思っている。ただし前提として、安全性や耐久性は担保しなければいけない」との方針を示した。

ANAが創立75周年にあたる2027年度に予定している制服のリニューアル。そのデザインを担うデザイナーが発表され、それぞれ意気込みを語った。

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