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セントレアとヒコーキ写真の美しいシンクロ 〜航空写真家・深澤 明を魅了した撮影地としての中部国際空港〜

開港当初から、中部国際空港(株)と月刊エアラインが共催してきた「セントレアフォトコンテスト」も第20回。今年も7月18日(金)を応募締切日として作品の募集を開始した。「今年こそは!」と意気込む皆さん、あるいは「セントレアでの撮影経験は浅いから…」と自信がない皆さんも、こんなにも素晴らしいシャッターチャンスの宝庫で、ぜひ満足のゆく作品を撮って送って欲しい。たとえば、航空写真家・深澤明ならこう撮る!

文:深澤 明 写真:深澤 明
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曇天の空から舞い降りたボーイング747LCF。スポットへとタキシングする姿をローキーに捉えた。晴れの日よりもコントラストが弱い分、思い切った露出設定で攻めることができた。展望デッキから一番近い誘導路を通過するため、さまざまなレンズ選択が可能。オーソドックスに撮るもヨシ、己の感性で切り取るもヨシ。
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S 1/1600 f8 ISO200
対岸の「高砂山公園」は桜の名所としても有名で、満開近くになると夜桜のライトアップが始まる。近所のシルバー世代の方々が訪れ、賑やかさのある公園だ。その展望台からの眺めは絶景で、地元のヒコーキ写真愛好家も訪れるセントレア外周のメジャー撮影ポイント。この日は春にもかかわらず視程抜群。波も穏やか。定番ショットとはいえ、天候や時間帯で化けるポテンシャルを秘めている。
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S + Z TELECONVERTER TC-1.4x(840mm) 1/800 f11 ISO400

深澤 明カメラマンの 「飛行機写真撮影セミナー in セントレア」 開催決定!(参加無料/事前申込制)

詳細お申し込みページも要チェック!

開催日 5月31日(土) 
※申込締切は5月24日(土)。抽選で選ばれた方には、同26日(月)までにご案内いたします。
会場 セントレアターミナル内特別待合室 
※当日は座学のみで、撮影実習は行ないません。

セミナー概要
●初級編
(10時30分~/60分程度 ※初級のみオンライン配信あり)
「飛行機写真のはじめ方 ~機体を“かっこよく”撮る基本~」 定員30名
●中級編(13時00分~/90分程度)
「光と構図で差をつける ~“作品”としての飛行機写真へ~」 定員25名
●上級編(16時00分~/90分程度)
「空と機体のドラマを写す ~プロの視点で見る一枚の設計~」 定員25名


滑走路に向かって延びていく、日本で唯一の展望デッキを味方に!

 セントレアのスカイデッキには、“日本の空港の展望デッキの中で唯一”と言っていい特徴がある。

 それは滑走路に向かって垂直方向に延びているため、滑走路との距離を自在に調整し立ち位置を決められる点だ。滑走路と平行方向のポジショニング幅は狭いものの、デッキ先端部分へと向かえば滑走路までの距離は約300mと近い。タッチダウンやエアボーンの瞬間も狙いやすい。

 国内線側・国際線側ともに、L字形状に展開されているスポットに対してターミナルビル側のスポット列には横方向から、スカイデッキに沿ったスポットには正面方向からレンズを向けることができ、太陽の位置にかかわらず、さまざまなシャッターチャンスが転がっている。

 ちなみに今や全国区となったワイヤーフェンスを日本で初めて導入したのが、ここセントレアであった。しかも唯一、ワイヤーフェンスにレンズを突っ込んでも許される空港である。

海上空港、スカイデッキ撮影の包容力

セントレアといえばこのアングルという定番ショット。スポットにずらりと機体が並ぶ様子や、斜め配置の8番スポットにレア機が駐機した場合、あるいは夜のショットなど、ポテンシャルを秘めた撮影ポイントでもある。
Nikon Z9 NIKKOR Z 24-120mm f/4 S(48mm) 1/640 f8 ISO100
スカイデッキが滑走路へ向けて垂直方向に延びているため、そのターミナルビル側に立ち位置を取れば先端部分の見学者を前ボケにすることもできる。ここでは意識が向いていないご家族を横目に、一生懸命にエアボーンするAIRDO機の憂いを表現してみた。
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S 1/400 f8 ISO500
春の柔らかい曇天の雰囲気で。背景が海なので、チェジュ航空のオレンジ色が映えるよう、ややスローシャッターにしてふんわりと。
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(230mm) 1/20 f8 ISO100 ND8フィルター使用
スターフライヤーの出発機とJTAの到着機がすれ違う様をスローシャッターで表現。セントレア開港当時から気に入っているアングルだ。
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(155mm) 1/13 f10 ISO100 ND8フィルター使用

セントレアだけの被写体。異次元の迫力、747LCFを狙え!

 日本で唯一、ボーイング747LCFドリームリフターを撮影できる空港でもあるセントレア。

 747LCFとは大型の貨物機で、中部地区で製造されているボーイング787の翼や胴体の一部を米国サウスカロライナ州にあるボーイングの工場まで輸送するのが任務だ。運よく離着陸のタイミングに遭遇すれば超ラッキーだし、Flightradar24のアプリで動向をチェックすれば到着時刻などもある程度はわかる。ベースが747ジャンボということもあり、タッチダウンやエアボーンシーンの迫力は他を圧倒している。

 駐機場所はランプエリアの最南端だが、あえてエプロン照明の電柱を入れ込んで絵作りするなど、前向きにアングル探しをしていくとかなり面白い。部品の搭載シーンなどもシャッターチャンスだ。

独特の形状で滑走路に接近、747LCFにもここまで迫れる!

RWY36に着陸する747LCFを捉えた。このスタイル、このボリューム感なので遠くからでも目視しやすく、またその存在感から機体が遠くても絵作りしやすい。セントレアへの飛来機会が多いとはいっても不定期便だけに、やはり実際目の当たりにすると緊張するもの。また、冒険しずらい機体でもある。それでもあえて果敢に、さまざまな表現にトライしたい。
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S 1/500 f8 ISO400
初めてこの光景を見たとき、「そうやってボディが開くのか」と驚愕したことを覚えている。画面の右隅にいる人を入れることで大きさを表現。またあえてDREAM LIFTERの“D”の縦線とエプロン照明の電柱を重ねて癖をつけた。このあたりは見た人やフォトコンの審査員には伝わりづらいかもしれないが、考えながら撮ることはとても大切だ。
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm) 1/400 f8 ISO100

きらめく海と人工構造物、対岸にも広がるセントレアだけの絵作り

伊勢湾の海の色は綺麗だ。思わず靴を脱ぎ捨てて波間に戯れたくなる気持ちもよくわかる。こんなホンワカした雰囲気になる保証はないが、筆者も撮影ミッションがなければ海に…笑。(常滑りんくうビーチ)
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(140mm) 1/800 f8 ISO200
セントレアを切り取る、対岸市街地の絶景撮影ポイント3か所

常滑の街の海岸から。さらに、高台からの遠望も楽しい!

 空港の対岸、セントレア大橋を渡った常滑市街地にもセントレア側を見渡せる撮影ポイントがいくつかある。

 一番近いのが「常滑りんくうビーチ」だ。白浜のビーチで、遊泳エリアやBBQエリアなどヒコーキ写真愛好家のみならず、多くの人々が訪れる人気スポットである。この辺りには「りんくう緑地展望広場」があり、海沿いのアングル探しも面白い。

 また、常滑市大谷高砂にある「高砂山公園」にはやや高いアングルからセントレアを一望できる展望台があり、日中はもとより日没前後なども美しい光景が広がる。

 そして今回、特にご紹介したいのが本宮山。標高86メートルの高台に鎮座する樽水本宮神社(たるみほんぐうじんじゃ)と展望台を有している。海上空港としてのセントレアを、まさに一望できるおすすめスポットなのだ。

風もなく海の表情も穏やか。対岸の三重県の山々は標高も高く比較的スッキリとした絵になるのが特徴だ。着陸誘導橋を画面の三分の一の下線に。水平線とヒコーキの位置を上下の中心線にして画面に安定感を持たせた。(高砂山公園)
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S 1/1000 f8 ISO200
シンガポール航空の787-10の低い上がりを想定して、セントレア大橋を渡る名鉄電車との絡みを狙っていた。ミュースカイでも良いのだが海の青色と被りあまり目立たない。できれば名鉄らしく赤い塗装の電車を待っていたところに…。(本宮神社展望台)
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(400mm) 1/800 f8 ISO200

日中が曇天でも希望は捨てず、遠征ならば、ぜひ1泊して欲しい。

 ターミナルビルのスカイデッキにせよ、対岸の撮影ポイントにせよ、基本的にはレンズを西へ向けることが多いセントレア。つまり夕暮れ時にこそ、ドラマティックな空に出逢えるチャンスの多い空港であるといっても過言ではない。

 そのため、たとえ日中が曇天でも西側の雲に切れ間があれば、天使の梯子が出現したり、美しい薄暮になる可能性がある。1日として同じ光景にあらず。常に期待感を持って夕暮れ時を迎えることができる。

 また、遠征に来る方はできれば1泊していただけると、出逢いの瞬間の頻度が増えること間違いなし。遠征組だからこその新鮮な視点と感性で美しく切り撮っていただきたい。きっとセントレア撮影の底知れぬ魅力を感じるはずだ。そして気がつけば、季節を変えて訪れたくなる。そんな空港の仲間入りをしているに違いない。

異なる表情で魅せる、日没から夜のドラマ

太陽の沈む位置を考慮して撮影ポイントを急遽移動。三重県の大地に優しく降り注ぐ夕暮れの光をバックに、静寂な海を航行する船と、ゆっくりタキシングする中国東方航空のエアバスA320をローキーに捉えた。(高砂山公園)
Nikon Z9 NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S 1/400 f8 ISO800
太陽は雲に隠れているものの、西の空に切れ間があるためにシャーベットオレンジ色の空が海に反射している。「空港がなかったころは何にもない町だったよ」と、散歩に来られた地元の方がポツリと言った。それを聞いて、少し町並みを入れて撮ってみようとレンズを変えた。(樽水本宮神社 展望台)
Nikon Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(300mm) 1/500 f8 ISO200
日没後30分間は最低でも粘りたい。建物の灯りと残照の空のバランスがちょうど良くなるタイミングが訪れるのを待つ。まるで夢が詰まった希望の島のようにセントレアが輝きはじめた。今回の撮り下ろしの中で、最も海上空港らしさが出ているショットになったかもしれない。(高砂山公園)
Nikon Z9  NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(300mm) 1/125 f8 ISO6400

詳細お申し込みページも要チェック!

開港当初から、中部国際空港(株)と月刊エアラインが共催してきた「セントレアフォトコンテスト」も第20回。今年も7月18日(金)を応募締切日として作品の募集を開始した。「今年こそは!」と意気込む皆さん、あるいは「セントレアでの撮影経験は浅いから…」と自信がない皆さんも、こんなにも素晴らしいシャッターチャンスの宝庫で、ぜひ満足のゆく作品を撮って送って欲しい。たとえば、航空写真家・深澤明ならこう撮る!

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