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大韓航空の新コーポレート・アイデンティティが語るもの。4月25日、東京にてメディア向け説明会を開催

4月25日、大韓航空は都内でメディア向け説明会を行ない、日本地域本部長らが今年3月に大規模リニューアルを果たした新しいコーポレート・アイデンティティ(CI)のコンセプトについて詳しく語った。

文:山田 亮(本誌編集部)
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新カラーリングはボーイング787-10(HL8515)を皮切りに、現在は777-300ER、747-8でも登場している。
Photo:Yoshioka Atsushi

「世界で最も愛される航空会社になるために最善を尽くします」

質疑応答にも流暢な日本語で答えてくださった大韓航空の李 碩雨(イ・ソグ)日本地域本部長。

 この説明会の冒頭、挨拶に立った大韓航空の李 碩雨(イ・ソグ)日本地域本部長は、まず非常に流暢な日本語でこのように参加者たちに説明した。

「大韓航空は1969年創立、ちょうど私と同じ歳で今年56周年を迎えました。この長い歴史の中で私たちが守り続けてきたもの、すなわち“安全という価値”と“お客さまへの感謝の想い”をさらに強化して、いっそうダイナミックな未来に向けて飛躍していきたい。この新しいコーポレート・アイデンティティ(CI)のもとで、世界で最も愛される航空会社になるために最善を尽くします。これからも大韓航空をよろしくお願いします」

 この説明会のテーマである新CI、なかでも鮮烈な印象とともにデビューした新しい機体デザインについては、AIRLINE Web月刊エアライン誌面(5月号巻頭)でも成田空港に初飛来した3月12日の模様をレポートしているので、40年以上にわたり見慣れてきた従来デザインからの大胆なスキンチェンジに、大いに驚いたという読者の方も少なくないと思う。
 もちろん、その根底には昨年12月に子会社化を完了したアシアナ航空との統合を見据えて、新時代の大韓航空を再定義するという目的がある。

 新たに機体のベースカラーとして採用したメタリック調のスカイブルーと、胴体上下を分かつように走る柔らかな印象の曲線、その前方に大きく描かれたKOREANのタイトルは筆書きのような意匠で仕上げることで、韓国文化が持つ優雅さを表現したという。

 垂直尾翼に目を移すと、トレードマークの太極ロゴもシンプルに無駄を排し、それでいて次世代への躍動感をイメージさせるものへの刷新を狙った。韓国の伝統舞踊のイメージもヒントにしながら、余分な要素を削ぎ落として本質的な躍動感を表現している。

実機にデザイン案を施すなど、入念なデザイン検討を経て誕生した新しい大韓航空のカラーリング。新CI全体のデザイン・コンサルティングのパートナーには、ソウルにも拠点を置くリッピンコット社を選んだ。
空港やウェブサイトなど、利用者と接するあらゆる箇所に新CIが反映されている。写真は成田空港のチェックインカウンター。アシアナ航空との統合時には、客室乗務員などスタッフの制服も新デザインの導入が計画されている模様。
Photo:Yoshioka Atsushi

現在161機を保有、カラーリング刷新も大規模なプロジェクトに

 しかし、これまで存在した“赤”や“白”といった要素が消えたことは衝撃的で、説明に立った広報担当者いわく「私たちも初めて見た時には少しびっくりしました」、また李 本部長は「デザインの詳細を知っていたのはプロジェクトに直接かかわる担当者だけ。私も発表のタイミングで初めて知りました」と明かす。その登場時、大韓航空社内でも驚きを持って受け止められていたことが分かる。

 鮮烈でありながらも、奇抜さで注目を集めようとする手法とは異なり、あくまでもフラッグキャリアとしての上質感を追求したデザイン。この新しいカラーリングは、「(写真よりも)実機を見ていただいた方が美しさを感じられると思います」という広報担当者の言葉には、実際に成田で目にした筆者も大いに共感するところだ。

 さて、現時点でこの新しいカラーリングはボーイング787-10(HL8515)と777-300ER(HL8008)、そして747-8(HL7638)の3機でデビューしている。今後も新造機として受領する新機材はもちろん、重整備のタイミングで塗り替えを進めていく計画だ。

 それでも現在、161機を保有する大韓航空。今後の増機計画に加えて、2027年にアシアナ航空との統合を完了すると同社が運航する多くの機体も継承し、将来的には300機近いフリート規模へと拡大してくことが想定されている。そのため、新塗装への全機移行も大規模なプロジェクトとなり、李 本部長は「3年程度はかかるでしょう」との見方を示した。

ファーストクラスとプレステージクラスのアメニティキットも刷新。英国のハイエンドジュエリーブランドGRAFFが手がけ、3種並ぶ写真の左と中央がファーストクラス用で、男女それぞれ異なるポーチで提供する(持ち手のある中央が女性用)。プレステージクラスも含めて、ポーチの色は8か月ごとにネイビー、グリーン、ブラックと変わる。
ファーストクラスで提供されるリラックスウェアも、イタリアのFretteが手がけるアイテムへと刷新された。ウェアには厚手のコットン素材を採用し、スリッパは男女で異なるサイズを用意。

大韓航空そのものも、KE Wayという経営理念で

 なお、今回の新CI採用は機体やロゴマークのデザイン、また乗客へのサービス面のほか、大韓航空というエアライン自身の経営理念の再構築にまでおよぶ実に大規模なものだ。新たに“KE Way”というテーマのもと、以下の3要素を掲げた。

①Purpose
Connecting for Better World

(お客さまと世界をつないで、より良い方へと向かっていく)

②Vision
To be the world’s most loved airline

(世界でもっとも愛されるエアラインになる)

③Mission
・Beyond Excellence

(価値あるサービスの提供、卓越した安全運航など)
・Journey Together
(お客さま、社員、ビジネスパートナーとの信頼関係重視など)
・Better Tomorrow
(世界の文化交流と相互理解の促進、世界中の地域社会の発展など)

 日本路線においては4月18日就航の神戸線を加えて21路線、週222便を展開する大韓航空。世界では34か国、106都市にネットワークを展開している。上記のBetter Tomorrowに掲げる通り、「大韓航空は日本のさまざまな地域の魅力を世界に紹介する架け橋になります(日本地域本部旅客チーム 金 載善 次長)」と、日本路線でも新しいKE Wayをさらに発展させていく考えだ。

Photo:Yoshioka Atsushi
4月25日、大韓航空は都内でメディア向け説明会を行ない、日本地域本部長らが今年3月に大規模リニューアルを果たした新しいコーポレート・アイデンティティ(CI)のコンセプトについて詳しく語った。

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